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アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発(2015)

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1961年8月、イェール大学で、ミルグラム博士の実験が開始された。
実験者とともに、二人の被験者が実験室に入ってくる。
一人は先生、一人は学習者となり、先生役の人物は問題を出題、別室にいる学習者役はそれに答える。
答えを間違えると学習者には電気ショックが与えられ、間違えるごとに電圧は上げられる。
くじ引きで、先生と学習者の役割は分けられたが、被験者の一人は実験の協力者で、常に学習者になるように操作されていた。マジックミラー越しに静かに実験の様子を見つめる、この実験を計画したスタンレー・ミルグラム(ピーター・サースガード)。
この実験は、ナチスによるホロコースト(大量虐殺)がどのように起こったのか?
普通の人々が権威にどこまで服従するのか?を科学的に実証することが目的だった。
実験が進んでいくと、学習者の答えは不正解が続き、電気ショックの強さも上がっていく。
学習者はしだいに呻き声をあげるも、被験者の電気ショックの手は止まらない。 公式サイト


世界37カ国でテレビ放映されたアイヒマン裁判によって、アウシュヴィッツ収容所の実態が初めて全世界の人々に知れ渡った。スタンレー・ミルグラムによるアイヒマン実験は、アイヒマンのようなごく普通の人間が権威に服従することで、虐殺を行ってしまうことを実証した。しかし、心理学会、学生からは“詐欺的” “非倫理的”と揶揄され、ミルグラムは一生、この実験の重要性を訴え続けることになる。実験結果をまとめた書籍が出版されると、世間からも大きな注目を浴び、全世界にその名が広まるも、さらに実験に対する批判は強まった。 そして、50年以上が経った現在、世界で大きなテロや虐殺事件が起きるたびに、ミルグラムの実験は引き合いに出される。実験の是非はいまも答えが出ていない。しかし、そのヒントはこの映画に含まれている。(公式サイト)


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映画というより舞台みたいな演出もあったりでちょっと不思議な映像でした。

話は実験がメインなんですが、一つの実験だけじゃなく他の実験やミルグラム博士のドキュメンタリーな感じもあって、だれることなく楽しめました。実際の映像も入っていたり。


余談ですが、子供の頃からホラーや幽霊とか怖い話が苦手で未だに真っ暗では寝れない私。 そんな私に母が投げつけるように言った言葉。

そんなの怖くない!人間の方が怖い。

子供に言う言葉ではない気がしますが、大人になっていくうちにその言葉を理解していくようになりました(^_^;)


このアイヒマン実験、きっと知らずに参加したら自分も最後までボタンを押し続けていたのかも…と思うと凄くゾッとします。

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自分は押さない!とか、そんな残酷な人間じゃない!とか思っていても実際は分からないと思う。 


自分の残酷な部分や弱くて醜い人間性に向き合うって嫌なことだけど、凄く大事な事だと思う。

自分はそんな事しない、自分は巻き込まれない、その時代や環境が違う、そうゆう事を覆すような実験結果だったことは、自分にも同じ事が起きてしまう可能性があるかもしれないって事。

でも、そうゆう心の傾向が分かっていれば、少し立ち止まって、本当にその行動をするべきなのかを考えることが出来るかもしれない。

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昔から心理学にまつわる話は好きなんですが、最近は自分と向き合っていくためにも必要な事なのかもしれないと感じています。


この映画の他にも心理学を題材にした映画はたくさんありますが、『エス(2001)』はかなり衝撃的でした。知ってる人も多いはず! ある意味で一番怖い映画だと思いました。 観た時期が9・11が起きた頃で後にニュースで流れる事件が映画の内容と重なって本当に恐怖を感じました。

人間が一番怖い。


『エス』のモデルになった実験をしたジンバルドー博士のTED。ミルグラム博士の実験についても話しています。 

注意) 暴力的で残酷な映像が途中で流れます。

実験については後にいろいろ議論になっているようですが、全部がヤラセや間違いではないだろうし、実際に酷い行為が現代でも起きている。。人間の持つ残酷さは社会の複雑さと大きな脳味噌のせいで凄く多様になっているんでしょうか。


折に触れて思うことですが、インターネットに始まり機械化や様々な技術が進歩しているけど、人の心の進歩は追いついていないんじゃないのかな~と。

アイヒマン実験についても60年位前のこと。

人を傷つける器具や方法や武器はもっと前から研究されていただろうに。



それでも、ミルグラム博士の実験の中でも、最後までボタンを押さずに中断した人達が居たことはスゴく救われる気持ちになりました。

自分もそうありたいし、そうゆう気持ちや意志を持てるんだと。

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