オかモリ

文字と私。 自分を取り巻くごくありふれたもの、そして現象や風景をどのようにとらえている…

オかモリ

文字と私。 自分を取り巻くごくありふれたもの、そして現象や風景をどのようにとらえているのだろうか そんなことを、ここに投稿してます。 文字や文章を通じて、なにか発見できればなと。 詩やエッセイ、 雑記や小説を投稿してます。

最近の記事

雪の命

招き入れも追い返しもしない 猛烈に唸る怒号が蒼穹を鮮明に押し上げる 冷たい海が潮の匂いもうちくだき 遠い青藍が冷ややかな線で遊離する 唸りから遠く離れたところで鴉でも鴎でもない わたしは いつか消えてしまう白い砂浜に足跡を残して緩やかにため息を放る

    • 夜になってから

      キッチンの蛍光灯の光を落とすとあたりが真っ暗になった。 まだ、日が照っている時から電気をつけていたから日が落ちたことに気づかなかったのだ。部屋で改めて夜を感じる。私は暗闇の中、寝室まで足を進めた。温もりがない、ひんやりと冷たいフローリングに足裏の皮膚が触れるたび、私の意識はゆるやかに寝る準備をはじめ、疲れた身体は癒しを求め始めた。数歩あるくと、薄暗い部屋に白いシーツだけがぼんやり浮き出ててくる。 このあたりだろうと私は全身の力を抜き、ベットに飛び込む。いつも飛び込むベットだ。

      • ロシアンルーレット

        どうやら関西のおばちゃんたちはみな「飴」に親しみの「ちゃん」づけなんかしたりして「飴ちゃんやろか」と見ず知らずの子供にまでススメ迫り来るらしい。という妖怪じみた噂が他県にまで広がっていることを知ったのは物心ついてからしばらくしてのことだった。そして我が家のおばちゃん(僕からしたらおばあちゃんだったが)ももちろんその妖怪のうちの1人であった。 うちのばあちゃんもそうであったようにほとんどのおばちゃんは飴ちゃん専用の袋をもっていた。 よれによれた巾着状のもの。タバコの景品っぽい

        • 朝とカラス

          最寄り駅の鉄道信号機の上に一羽の烏が朝日をめいいっぱいうけながらも黒い身体を保っていた。遠くに見える一本の電柱にもう一羽カラスがとまっている。その烏に向かってかたったいま街にきえていった烏にむかってか3回鳴いた。応答がないまま鳴き声は虚しく早天にすいこまれていった。烏は電柱の方に飛び立ちやはりそこでとまった。そこで4回鳴く。となりにいても応答がない。もう一方のカラスは仄聞して飛び立った。また一匹にもどった烏。

          早朝の独り言

          「助かってますよバナナさん」 朝早く家をでないといけないのに、ベッド上のあと5分あと5分が祟って目覚めはとてもギリギリ。眠り目でクタッた洋服をひっつかみ、ゆっくりしたいなと茹だりながらシンクの中で水をたたえたコーヒーカップを横目に身支度。冷水がいつもよりまして肌にささる(さっきまで布団の中でゆっくりしてたのにゆっくりしたいなんて変な感じ)このまま家をでるとお昼過ぎまで物を口に入れることがないから昼中を乗り切れるかどうかの体力を心配して無造作に冷蔵庫を物色すると、少し色が変わっ

          早朝の独り言

          お腹いっぱいの交信

          兄がお嫁さんの大きくなったお腹をポンポンと叩く。そして今度は優しく撫でる。 次に3回ノックして、不思議そうに顔をよせる 「どこからやってきたの」 ポンポンポンと叩いて返事がない 「元気にしてるかい?」ポンポンポン 「いるのいないの?また無視か?」ポンポンポン 次は声をかけてみる 「いつになったらでてくるの?」 するとゆっくりお腹が動いて少し返事 「まだ出たくない。外は寒いの?つめたいの? ここは温かく、心が近い。父さんの心は一つ、ボクの心も一つ。でも母さんの心は今二つ。」 ま

          お腹いっぱいの交信

          椅子一つ

          椅子一つ 腰掛けてみようかな タバコ一口 ふくんでみようかな 子供一人 秘密 盗んでみようかな 女性一人 悩み 聞いてみようかな 両親二人 馴れ初めを聞いてみようかな 海一面  ギラギラ ひかる 思い出一つ なくしてみようかな 心一つ  壊してみようかな 口一つ  物言わぬ案山子は足一つ

          椅子一つ

          カケル(仮)

          死んだ人は思い出の中に生きている あの人と歩いた道 あの人とキスした暗い道も あの人と話した好きな物や あの人と一緒に寝たくたびれたシーツ あの人と行った馴染みのない海辺 なびく髪 悲しくても悲しめない もういないから あなたがいないのに悲しむなんて変 僅かな思い出を巡ってみても悲しみはあなたと一緒に去っていった そこはとてもとても冷たく血の巡ってない抜け殻 あなたがもし3日間だけ特別に生き返ることができたらという空想 そのとき私はあなたとどう過ごすだろう きっと、抱きしめあ

          カケル(仮)

          花咲く残虐

          花咲く私はシザーハンズ 道に落ちてる枯葉一枚 踏みつけた その下に蝸牛がいることに気づかずに 好奇心旺盛な子供に 理屈を捏ねた まだ知らない世界を説いた ちっぽけな世界 眉をおとしてることもきにしないで ひとりぼっちの子に優しく腕をのばした その子が望んでもいないのに 彼女の言葉に躊躇なくうなずいた 本当は何か言ってほしかったはずなのに 母の優しさを利用した 臍の緒を自分で縫い合わせるように 小刻みに震える手を皆に見せた 不安な自分を知ってもらうために 緑に耀く芽をつんだ こ

          花咲く残虐

          可愛い落書き。 今夜の雨でもう流されてしまったかな。

          可愛い落書き。 今夜の雨でもう流されてしまったかな。

          苦態

          2021/6/15 虫の中には天敵に狙われないため擬態するものがいる。 目をつけられ襲われないように、自己を守ることも、逃げることも、戦うこともできないから、ただ隠れる。とても利口だ。 私も自己の守り方がわからなかった時、剥き出しの心が実に傷つきやすかったとき、左右前後目標や好き嫌いや好奇心がはっきりしてなかったとき 何かに追い立てられ、コミュニティに属さなければならなかったとき、目立たないように主張しないように、群衆へと、集団へと擬態した。 私の好きが芽生え始める前に、よ

          ロマンスで死ぬ

          この手から花が落ちたとき ロマンスは心の中で死ぬ 見てはいけないものだと 周りは目を伏せ通りすぎる 叫びはどこへ向かって 願いはどこに向かって まだ、私は知らない しかしもう朝はそこまで迫っている アスファルトを打つ足音が リズムを乱し訴える タバコをくれ 酒をくれ ペンをくれ 睨まれる前にやらなければ 通り過ぎる前に言わなければ 体が散り散りバラバラになってしまう 案内所に駆け込んでみるが しかしそこは水先案内人がいない波止場で場違い どこへいけば、いいのか?訪ねれば

          ロマンスで死ぬ

          落涙の末に

          どこかで ボタっと落としたナミダ 思い出の体積を一切合切 一緒くたに包み一袋にして 雑に盗んで流れ落ちていったよくやくのナミダよ 形のナミダよ 熱のこもった 混色のナミダよ わたしから抜け出してしまったナミダよ お前に愛おしさはもう感じない 凍りつくことも蒸発することも あっけなく跡形もなくただ流れ出ただけ 泣いて喚いて悲しんで散った 遠くへと響き渡った悲しみは しらけてままになくなった 悲しみのひと時 ナミダにしまい 泣いておしまい 落ちて弾けた あっというま さよなら

          落涙の末に

          2021/11/15 朝の日記

          目が覚めると、日はまだ完全に昇りきってなくて、黒から白、白から青へと変わる手前だった。 外の景色を見てそう思ったわけじゃない、体温がこもった布団の中に滑り込んできた、外から聞こえてくる音に日中ほどの活気がなく、もの静かで冷たく、鳥の声が甲高く向かいのマンションに響いていたから、それくらいの時間だと思った。 早く起きすぎた。携帯のアラームもまだ朝の知らせを待っている。もう少し眠ろう。目を閉じて温もりに体を埋めようとしたけど、耳がすっかり冴えてしまって冷たい音がやまない。耳たぶは

          2021/11/15 朝の日記

          2021/10/20 朝の風景

          目が覚めると、見慣れない部屋はやわらかく静かに朝日をうけいれていた。 ハンガーラックにかかってる服や雑多に物が置いてある机、向かいの眠っている友人のお尻がこんもりと膨らんだり沈んだりしている。 鳥の声と寝息が混じって澄ました耳にはいってくる。ほのかに差し込む光は、やんわりと沈黙をやぶいていく。 窓を閉めきっているのに、吸い込む空気が爽快だ。 目覚めのいい朝とはこういうことを言うのだろうか。それを友達の家で向かえるとは。 私が住んでる家は、暗くて寒くて湿っぽくて活気がなく、気力

          2021/10/20 朝の風景

          新鮮

          眩しすぎる朝日に、目を覆うことも、伏せることも、避けることもせず、目を眩ませて、朝の風と匂いを吸い込む。 新鮮な空気は昨夜の疲れが残った体には清潔すぎる。肺いっぱいに清々しい空気がつまる。しかし吐く息は熱く重たい。煌びやかな光が身体に突き刺されるまま、昨日くだった坂をのぼってゆく。