真夏の夜の逆夢

8/9 曇り時々雨
「今年こそ最高の夏にするぞ」と7月の頭に気合を入れていたのだが、仕事や趣味のあれこれをやっていたら、8月の上旬も終わろうとしている。
生活習慣は5月の頃から何も変わっていない。銭湯に行ったり、喫茶店で本を読んだり、生成AIを弄ったり。もう、全然最高の夏にできていない。
生活は楽しいが、夏を堪能できているか、ということに焦点を当てれば、過去一番で季節感がない毎日を過ごしている。ああ、カゲプロ楽曲を聴きながら、和歌山の海辺の街をぼんやり歩いていた中学3年生の夏に戻りた。

最近は、田舎の駅のホームでアイスキャンディを咥えた、男の子のことを「少年」呼びするお姉さんに出会いてぇ、と飲み会だのTwitterのスペースだの、色々なところで宣う妖怪になっている。
実際はクーラーの効いた部屋でリモートワークの日々。空き時間でおねショタモノのボイスドラマを浴びるだけ。
しかも近頃はなおさら悪化しており、今日なんかは、朝目覚めてスマホを開いたらGoogleの検索欄に「shota」という語だけが残されていた。昨晩に取り残された情欲のダイイングメッセージだ。ともかく、行動を起こさなければ、現実は伴ってこない。

行動を起こした結果、現実が自分の意思と逆の結果となるときもある。
去年の夏、「2度とアカデミアと関わるもんか」という思いで研究からトンズラしたのだが、一週間ほど前に学会のシンポジウムで、共同かつ発表者ではないのだが、生成AIについての発表をした。まさか、1年も経たずに再びアカデミアと関わる機会が巡ってくるとは思わなかった。

アカデミアに関連してもう一つ。LK-99という常温常圧超伝導を謳う物質について盛んに拡散していたTwitterアカウント全般に、ハラワタが煮えたぎるくらいに腹が立っている。
タチの悪いことに、こういうアカウントはbioに研究者だの何だの書いてあることが多い。アカデミアから逃亡した私からすれば、これを見かけるたびに「嘘やん、こんなんに俺一度負けたん?」と禪院直哉みたいなことを言いそうになる。

だが冷静になれば、このデマゴーグに対して怒り狂っている私自身のこの感情が、よくわからない。
「研究をやめるからといって、研究が嫌いになった訳ではないです」と、ほんのり前田敦子フレーバーを感じることを教授に伝えて大学院から去ったのだが、実は私は心の底から研究とアカデミアが嫌いになっていたのではないだろうか。そう思うのだ。
研究者を名乗っているくせに未確認の情報を嬉々として拡散するなよ、とか、誤った情報を拡散するのは研究不正の次に科学に対して不誠実だろ、とか、そういう心の中だけの言葉が、己の怒りと憎悪に対する後付けや、正当化に過ぎないのではないかと思うようになった。
普段私はあまりキレないので、今回やたら癇に障っているということは、心の柔肉を突かれる何かを彼らから感じているのだろう。
自分の気づかないところで、アカデミアに対する嫉妬心など負の感情がぶくぶく膨れ上がっていたのかもしれない、と自省した。

ともかく、当分はまだやることが多い。
本業もあれば生成AI絡みの副業もあり、アート作品の提出期限も迫っているし、お手伝いしているビジネスコンテストの作業もこれからがヤマだ。
最高の夏までは遥かに遠いが、実りのある夏にはなりそうだと感じている。

お姉さんより、自分の心の未熟な部分に向き合ってみるのも良さそうだ。
未熟な部分って、実質ショタなのでは? と考えたらなんだか興奮してきた。
蘇る昨晩の情欲。最近話題のポルノ中毒にだけはならないように心がけたい。

勉強用に本を買います。