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彼女とコーヒーを

「買い物の前に、どこかでお茶しよう」

私たちは街で待ち合わせた。
交差点の角でふと目にとまったお店で、ランチを終えた後、彼女がそう提案してきた。

「うん、コーヒーが飲みたい」
「私も、食後のコーヒーが欲しいと思ってた」

彼女と私の好みは正反対。
一緒に買い物に行っても、きっと彼女はアイドルのコンサートDVD、私はROCKバンドのミニアルバム、彼女は雑誌で話題になっている美容液、私はベーシックな色のアイシャドウ、彼女は柔らかな素材のフレアスカート、私はデニムパンツを、それぞれ買うのだろう。
それなのに、何故かコーヒーを飲みたいと思うタイミングはいつも一緒だ。

少し歩いてカフェを見つけると、彼女はエチオピア、私はマンデリンを注文した。
私は、酸味の強いコーヒーが少し苦手で、彼女はフルーティーな香りが好きだ。
コーヒーといっても、その好みはやはり合わない。

「カフェラテと迷ったんだよね」
前に並ぶ客がオーダーしたであろうカフェラテを作る店員の動きを見ながら私が言うと、彼女は笑って、「私も」と答えた。

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