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間違い電話のその先に

最近ではLINEとかいう大変便利なコミュニケーションツールが出来てしまったおかげで、個人の電話番号に電話することはほとんどなくなってしまいました。その分、間違い電話をする機会もされる機会も少なくなり、知らない人とのあの微妙な空気を体験しなくて済むように。

といいましても、バイト先ではちょくちょく遭遇します。こちらが電話をとって対応しようとすると、すぐにプチリ。間違えましたの一言くらい言ってくれればいいのにと思ったのですが、そういえば自分も同じことしてしまったことがあったなと。

あれはまだスマートフォンが世に普及する前の話です。
当時自分が好きだった女の子と冬休みにおデートの約束をしようと、直接お相手の家に電話をしたことが何回かあります。当然携帯電話なんてまだ持ってなかったので、そうするほかに連絡を取る手段を持ち合わせておりませんでした。

電話をかけ、お相手が出てくるまでのドキドキ感と言ったらもうね。受話器から鳴る「プルルルル」という音ををかき消すほどに心臓がバクバクと唸りを上げます。ただ、一番最初に電話に出るのはお目当ての相手のはずもなく、だいたいがお母様。ビビり散らかして声を震えわせながら「○○さんいますか」の決まり文句を言ったのを今でも覚えています。思い返しただけでも恥ずかしさで頭がおかしくなりそうです。ようそんな度胸あったなおい。

そんな連絡の取り方をお互いしている中、相手からの電話に誰も出られなかったことがありました。普通なら留守電を残しておけばよいと思われますが、なんせこちらは固定電話なので、親が聴くかもわからない状況でした。そんな中で留守電なんて恥ずかしくて残せるわけもなかったと思います。

しかし幸いなことに自分が家に帰ると誰もおらず、家族の誰よりも早く着信履歴を確認することが出来たのです。そこには一件だけ見知らぬ電話番号からの着信がありました。不思議に思いつつも、もしかしたらと勘繰り過去の着信履歴で電話番号を確認すると、まさにビンゴ。過去の着信時間との兼ね合いを考慮すると、ほぼ確実に例のお相手です。いつもは家電ではなく自分の携帯とかで電話をかけていたのだろうということが推測できました。

「あー自分賢いわぁ」と見事な推測をかました自分に酔いしれながらその電話番号にかけなおし、お相手が出るのを待ちます。今度は「プルルルル」の音を聞くこともなくすぐにお相手が出たので、自分の名を名乗り要件を言おうとしました。すると向こう側から考えもしなかった答えが飛んできます。

「え?誰?www」

プチリ。・・・・・

「・・・・///」

状況の意味不明さとしばしの静寂、そして間違え電話で意気揚々と自己紹介をしてしまった事実による恥ずかしさで死にそうでした。くっ殺女騎士の気持ちを初めて理解できた瞬間であります。

後ほど確認してみると、どうやらお相手はお姉さまの携帯からこちら側にかけてたみたいだったのです。つまり電話に出たお相手はお姉さま。

今になって思えば、もし自分の携帯持ってたら番号教えてくれるやろがい。しかし、当時の若僧は煩悩まみれだったこともあり、そこまで考えられなかったんでしょうね。推測が完璧だと驕っていた過去の自分をぶん殴ってやりたくなりました。タイムマシンが出来たら是非実行したいうちの一つです。

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