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「老いる自分をゆるしてあげる。」

当たり前かもしれませんが、年を取らないと「老い」ってわからないです。

30代40代の頃は、やればできる、的な価値観の中で生きてきました。もちろん人によって体力は異なるし向き不向きも違います。でも、「将来ああなりたい」という気持ちがあって努力を続ければ、多少なりともそちらの方向に進んでいける、と思っていたんですね。

でも実際に自分が老いてみると、やりたいことはそうできない、やれそうになった時には体力気力が尽きていてやっぱりできない、という現実にぶつかりました。いえ、今もぶつかっています。生きているうちにやりたいことは些細な夢から大きな行動までいろいろあるのにどれも実現の見通しが持てません。こんなはずじゃなかった、という思いばかりが膨らみます。

そんなときにこの本を書店で見かけました。

老いとは何か、身体は、心はどうなるのか、どこを向いていけば良いのか、そんなことを易しく教えてくれる本。全編マンガで綴られ読みやすいのもマル。本は薄いのに中身が濃いです。

表紙で前方仰角30度を見つめているのがイラストレーターのトメさん。48歳ではじめて喘息を発症し、いったいどうなっちゃうの、どうなっているの、と自分の「老い」を追求し始めます。というより妙なおばあさんに出会って「老い追求講座」に無理矢理入っちゃったみたいな?

上大岡トメさんは以前読んだ池谷祐二さんとの脳の本が面白かったのとタイトルに惹かれて購入しました。だって「老いる自分」っていまの自分そのものだから。そしてトメさん同様、自分も老いに抗ってなんとかしたいとジタバタしているところです。

結構堅い内容も多いけれどスルスル読めてありがたいこと! テロメアのこと、骨と筋肉の老化、感情の老化、老人のいくつかのパターンや50歳からのボーナス人生など。名言も数々出てきます。

「自分の最盛期がいつだったかなんて人生が終わるまでわからない」

そうかあ。

運動が大事、好奇心を忘れない。養生する。あたりまえで、なのについついおろそかに生きてしまうことばかり。いまわたしは身体が思うようにならなくて焦ることが多いのですが、読んでいて、「養生する」加減がまだうまくつかめていないのかなと思いました。やらなきゃならない仕事があると自分を追い込んでまでやってしまうところがあるんですよね。noteでのちんたら文章からはあまり見えないかもしれませんが。

読み終わると今の科学でわかっている老化の仕組みがざっくり理解できます。なるほどそうなのか。だからといって特効薬はありません。それから自分のことを振り返ると、これらを行うにはすべて「痛くない」が基本になるのかなーなんてことも感じました。どこか痛いとすぐに「気」がすり減ってへばってしまいませんか? 痛くならないためにはやはり日頃の養生なのかな。運動して、睡眠取って、「やらなきゃならないこと」もだけど、「やりたいこと」「楽しいこと」で自分の周りを埋めるようにして。

なんとか別ステージからの景色が見られるよう、もう少し養生を重ねてあがいてみようかなと思います。がむしゃらではなく淡々と前に進む気持ちをくれた著者のトメさんと本に感謝です。



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