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掌編小説【救世主】♯毎週ショートショートnote

お題「伝説の安心感」

【救世主】(410文字)

世界の片隅にある小さな酒場に、一人の男がやって来た。
男はカウンターの端に寄り掛かるように肘をつき、ウィスキーを注文した。
マスターが黙ってグラスを置くと、男は震える手でそれを受け取り、疲れきった声で言った。
「アレを探してるんだ」
マスターは、男をじっと観察している。
「だが見つからねぇ」
男はウィスキーをグィと飲み干した。
「俺は必ずアレを見つける。世界を救うためにな。でも、ただの伝説なのか…」
マスターは男に可能性を見た。マスターは人を見る目があった。

「いるぜ…ここに」
男がハッと顔を上げる。
マスターはうなずいて、男を店の奥にいざなう。
そしてヒュッと口笛を吹いたかと思うと、目にも止まらぬ速さでホルスターからピストルを抜いた。

その瞬間、男の目の前を黒い影が横切り、銃口から飛び出した万国旗に飛びついた。
百年前、ネコロナウィルスのまん延で絶滅したと思われていたアレが!

男は感極まった。これが『伝説の安心感』か…。
世界は救われた。


おわり

(2023/4/17 作)

『たらはかに』様の4/16~4/22のイベントに参加させていただきました☆
なるべくオチの予想がつかないように工夫したつもりですが、やっぱり予想できちゃうよなって思いました… ありがち、ねこオチ(;・∀・)るるる…

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