お題「優先席の微世界先生」

【転生先生】(410文字)

先生は極小人である。
この腐った世界を救うため、平和な微世界から転生されたのである。
私は現世で先生をサポートする役割を担っている。

先生は微世界人なので、その姿はかなり小さい。それ故、先生のために私は腕時計の中に執務室を作り、ふかふかの優先席まで設けた。
ソファに優先席と名付けたのは、先生がこの世界で一番気に入ったシステムの名称だからだ。

『お年寄りは大切に』。
その思いやりがこの世界を救うのですよ、と。
先生は、ふかふかの優先席を大変気に入っておられる。

しかしある日、微世界からもう一人、老師が転生された。
この世界を先生一人で救うのは困難ということで、経験豊富な老極小人が選ばれたのである。

しかし、小さいから同じ執務室で大丈夫だろうと思ったのが甘かった。
元からいた優先席の微世界先生は、頑としてふかふかソファを譲らない。
先生！思いやりは？

困った私がふと見ると、老師も先生を殴ろうとしている。

この世界はもうだめかもしれないな…。

おわり

(2023/12/6 作)

たらはかに様の12/2～12/8のイベントに参加させていただきました☆
今回は裏お題です。
裏お題もスゴイですね…(;・∀・)
この腐った世界の毒もすごそうですが、この世界がこの世界というわけではありませんよ～。ふぃくしょんですもん。