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Freedom ちっぽけな冒険隊Ⅱ

旅出発当日。朝7時の駅はまだ人も少ない。
連日俺たちを苦しめていた太陽もまだ顔をだして
いないようだ。昨日の夜に飲んだであろう
缶ビールの空き缶が足元に転がっている
二人で集合し持ち物の確認をしていた。
そこでとんでもないことに気が付いてしまった。
俺は黒のタンクトップにフリマで
100円で買ったアディダスのハーフパンツ。
まるで競輪選手のような格好。
それと比べて友達はどうだろう。
上こそ黒い半袖のものの下はジーンズ。
おいおい俺たち今からママチャリで
100km走りに行くんだぜ(笑)
「なんでハーパン履かないんだよ」
そしたら友達は下を向きながらこう言いやがった
「すね毛が恥ずかしい♡」
もう知らない。。

「んまどうにかなるっしょ」と俺
土浦までの切符を買って電車に乗り込んだ
朝早いということもあり俺らは無事に席に座れた
慣れない電車に揺られながら俺は考えていた
「なんでわざわざ金を払ってまで
ママチャリを漕ぎにいくんだろう」
確かに落ち着いて考えればおかしな話。
いつもの学校生活の中では100円の購買のパンさえ
買うのをためらっているのに、、
今回の旅は移動費レンタル費食費で
なんだかんだ8000円くらいになる
この金があればパン80個買えるんだぜ
これを見てる一般的な若者には
健全な判断をしてほしいね
8000円払って猛暑の中罰ゲームの様な旅をするのと
購買で4か月間毎日パンを買えるってのを
天秤にかけたなら
絶対後者の方を選んだほうがいい。
自分でいうのもなんだが前者を選ぶ奴はもはや変態
頭のネジが10本くらい足りないはずだ

電車を3回くらい乗り継いで土浦に着いた。
思ったより大きな駅
駅からレンタルチャリの店までは徒歩20分。
紫外線がだんだん強くなってきたと感じてるのは
俺だけじゃないはず
とはいえやっぱり知らない町を歩くっていうのは
楽しいもんだなにもかもが新鮮に感じる。
聞こえてくる言葉、街の音、
見慣れないスーパーの名前
この感覚は実際に行かないと分からない。
チャリ屋でママチャリを借りた、
店のおっちゃんが言った
「今日はどこまで行くんだい兄ちゃん」
この世の中で一番のにこにこスマイルで
こう答えてやったよ「湖1周してきま~~す」
あの時のおっちゃんの顔を見せてやりたい
「こいつ正気か」って顔で俺を見つめる
あんまりやる人もいないから
アドバイスのしようがないだろうね
なんか俺にいってきたが全部聞き流して出発した

実際出発してみると想像以上に爽快な気分
雲一つもない空、永遠に続く緑のたんぼ、
たまにすれ違うライダーたち
それらすべてが俺らのテンションをぶちあげた。
うろおぼえの歌詞でゆずの夏色を大熱唱。
続いて世界の終わりのRPG
「空は青く澄み渡り、海を目指して歩く、
 怖いものなんてない 
   僕らはもうひとりじゃない
なんだか今の俺らにぴったりな気がしてきた。
インドア派の象徴ともいえる友達と
臆病だけどいきってる俺が
2人で大きなチャレンジに立ち向かう。
うん、物語としては悪くない

ずっとチャリを漕いでると
今は使われてないであろう古い船着き場に着いた
俺らはここで休憩をとることにした。
スタートして10km。
俺は直射日光で熱くなった、
アスファルトの地面に寝転んだ
目に映る空はとても青く、果てしなく高かった。
波の音が響く船着き場
まるで映画のワンシーン。
きれいな景色の中で寝転ぶイケメン俳優(俺)
きっと大ヒット間違いなしだろう。
バックパックに詰めてきた
2Lのペットボトルを取り出し一気に
500ml飲み干した。とにかく汗の量がすごいのでいくら飲んでも足りない

サイクリング再開
さっきの休憩の時に
2人で地図を広げてチェックしたところ
ここから15㎞先のところに
セブンイレブンがあるということが分かった
「次の目標はそこにしようかそこで昼飯を食うぞ」
友達の返事が返ってこなかったのは言うまでもない
まったく可愛げのない奴
朝の集合が早かったため結構お腹が空いている
2人とも休憩前の1.5倍くらいのスピードで
セブンを目指した。
結果的に1時間で到着、
食べ物の誘惑の強さを知ったぜ
俺が買ったのは4つで120円のピザパンと
塩結び、ライチジュース1L全部で400円くらい、
まぁ特にいつもと変わらない昼飯のラインナップ
俺の貧相さがまるわかりだな 笑
だけどなこれだけは言わせてほしい。
こんな飯でも食う環境が違えば
たちまちごちそうに変わるんだ

猛暑の中でママチャリ20㎞漕いだ後に
食う塩結びは言葉にできないくらいうまかった。
こんなにコメが甘いと思ったことはないよ。
俺はあやうく米に泣かされそうになった。
実際このおにぎりはこれまで食ってきた
どんな肉よりもうまかったな
自信をもって言えるよ
昼飯のおかげで疲れ切ったからだが元気になった
俺らの旅はまだまだ始まったばかりだ


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