'95 till Infinity #005

【 Prologue: He’s Back #005

 トイレのドアを開けたところで、トーニに出くわす。

 てかてかの薄いシャツに黒いパンツのクラブアウトフィットを着込んだ元同級生。馬鹿みたいな値段の美容室で切ってもらった髪形に、足元は400~500ドルはするデザイナーシューズ。

 相変わらず気分は18のままの28歳、あの頃と何も変わってないつもりなんだろう。

 ドアノブを持ったまま、

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'95 till Infinity #004

【 Prologue: He’s Back #004

 照明を落とした閉店した店内でビールをグラスに注ぐ練習をする新人クン。営業中のホウキにチリトリ、灰皿にタオルをグラスに持ち替えて頑張っている。その横で鋭い眼光を放つはいつもバーで完璧なビールを注いでくれる金髪のとうのたったおねぇちゃん、右手に持っているのはピカピカに磨き上げられたスティールの定規。

 俺はそんな馬鹿な絵を頭に浮かべながら

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ソトノバ・ライターズクラスその①

はじめに

On Businessで、自社のスマートシティにおけるコミュニティ創り、住民向け新規サービス創りに、Off-Time=週末に「トレーニングで街づくり」をテーマに取り組んでいるチームDaddy Park Training に参加している関係で、最近、コミュニティづくり、場づくり、街づくりについていろいろ考えるようになりました。
物質的、経済的に豊かになった現代だからこそ、合理的に計画され

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ストリートスポーツは、社会を変える魔法の杖

90年代後半から2000年代初頭にアメリカでおきた「公共スケートパークブーム」は、それまでの営利を目的とした大型室内スケートパークを閉鎖に追い込み、一方で「好きでやってる」民間スケートパークだけが生き残ることになった。

大型スケートパークがなくなる一方で、日本でいう学区単位くらいのエリアに一つは公共スケートパークが作られ、裾野は確実に広がった。
そのことによって、それまで見向きもされず、危ない、

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'95 till Infinity #003

【 Prologue: He’s Back #003

 『飲みが足りないから』か、スティーブが言いそうなことだ。

 その理屈自体にはなんの論理性もないし、ただの酔っ払いの戯言でしかない。今の会話からその部分だけ切り出して文字にしても誰も納得なんかしないし、この世界に1mmの違いも生み出さないことは間違いない。

 けど、結局のところ、俺はあいつの言ったことというよりも奴という人間を覆うオー

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【戸惑いと舞い(7)】

予選が開始する。予選からピックアップされた十六名がさらに優勝をかけて戦う。優勝すれば日本代表を決定する本戦に出場でき、それに優勝すれば今度はアジア大会、そして世界大会へとコマを進める。

 私は予選をあがり、そして一回戦目で、元日本代表のダンサーとあたり、ベスト16で敗退した。呆気ないほどの展開に、思考がついていかない。現実はただ過ぎ去る笹船のようだ。

 二回戦がはじまるまで、ほかのダンサーたち

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'95 till Infinity #002

【 Prologue: He’s Back #002

 「おい、何考えてんだよ?つまんない顔してんじゃねぇよ、早く嫁さんと可愛い子供の待ってる家にでも帰りたいってか?お前がそんな顔してたら、他のみんなの酒もまずくなるだろ。楽しくいこうぜ、なっ!」

 会話に入るでもなくボケッと外を見ている俺の背中をでかい手で力の加減する知らずに叩いてくるのは麻薬対策班のスティーブ。

 スティーブ・トンプソ

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