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素敵な暮らしの思い描き方- 111年目の中原淳一展 in そごう美術館(横浜)

こんにちは。
今年の最後の美術館は、中原淳一展にしました。
クリスマス時期のそごうなので混んでいるかなーと思って午前中に出かけました。
展覧会はそこまで混んでおらずのんびりと見ることができました。

もう本当に素敵!としか表現ができない展示の数々、思わず 家を模様替えしよう、素敵なお家にしよう!と帰りにそのまま家具屋さんと無印良品を回ってイメージを膨らませました。

ものがごちゃっとしていた棚上を整理して、クリスマスツリーを飾りました。
年末のこの時期にこの展覧会に行けて本当に良かったです!

ほんとうの美しさとは、豊かさとは、なんなのか。

中原淳一展

豊かさとは…本当にそうですね。
幸せと物質的な豊かさが=ではないということは私が小学生のころの国語の教科書でも論じられておりました。逆に戦後のモノが全く足りない状態でも豊かさについて考えていたのですね。
その時代は現代の豊かさへの悩みとは異なる状態だったのだと思いますが、豊かさへの理想の根っこは同じかもしれません。

111年目の中原淳一展

中原淳一 (1913−1983)
日本の画家、ファッションデザイナー、編集者、イラストレーター、人形作家

終戦からちょうど一年後の1946年8月15日、中原淳一(1913-1983)は自身が編集長を務める『それいゆ』を創刊すると、ファッション、インテリア、雑誌編集、イラストレーションなどの領域を大きく超えたマルチクリエイターと呼ぶべき多彩な活躍を果たしました。

人々は夢も希望も忘れ、未来や幸福について考えるより、生きることに必死な時代でした。「再び人々が夢と希望を持って、美しい暮らしを志せる本をつくりたい」と、中原が見えない未来に光を灯すような思いで手がけた仕事の数々は、女性たちの圧倒的な支持を得て、後生のクリエイターにも大きな影響を与えていきます。

中原淳一展

戦後の日本の人々に希望を与えた。ただ生きることに必死だった時代に、美しい暮らしを提案して希望を作りたかった。
そんな中原淳一の創作の想いがとても素敵だな、と思いました。

青春時代を戦争に奪われていた世代、つまり祖母の世代の女の子たちにとって、雑誌に描かれている素敵な女性の姿は夢を与えていたのではないでしょうか。
戦禍の中持ち運べるように作られた小さな冊子、戦争で自由な服を着られない時のおしゃれなモンペのコーディネートの提案など、目の前の現実とは離れたイラストの世界に希望を見ていたのかな。

パッチワークやアップリケをつかった服の提案、
スカートやワンピースを成長にあわせて長くする提案など、ものをいかに無駄なく使うのかを素敵なイラストで伝えていていました。
決して貧乏くさいと言うこともなく、とてもキラキラとした世界でした。
サザエさんもワカメちゃんのお洋服を作っていますが、少し前までお裁縫で自分の服を作るということは当たり前の選択の人だったのでしょう。

生きることに必死でも
美しい暮らしを志すこと

戦後のコーナーになると、撮影OKのエリアがありました。
中原淳一が女性向けの雑誌で提案した、彩たる部分がわかる展示です。

美しくて、かしこくて、優しくて、ものを考えることの出来る女性であってほしいと思って、『それいゆ』は生まれた。

ほぼ日刊イトイ新聞
中原淳一さんのつよい気持ち

中原淳一が女性のために手がけた雑誌、
戦後の日本に美しい志を示した『それいゆ』
戦争で少女時代を奪われた女性のための『ひまわり』
パリから帰国後に立ち上げた『ジュニアそれいゆ』

ファッションだけでなく、インテリアや美容、髪型、手芸、文学など多岐にわたって取り上げています。
中でも印象的だったのは、教養は必要だと雑誌で文学作品を扱っていたことです。
幻想的な挿絵とともに文学に触れられる、というのはとても素敵なきっかけだと思いました。

「きれいな心を持っていても、表現しなかったら、何も伝わらない。表現する術を、身につけてほしい」と、教えていたんです。ー

ーそのためにも、あなたに似合うお洋服を見つけて、あなたに似合うお化粧やヘアスタイルにしてほしい外面的にそうするためには、もういちど翻って、自分の内面を知る必要があります。

ーとするならば、教養も身につけなきゃいけないし、言葉遣いにしても「あなたの心を表すものは、言葉。美しい言葉を遣いましょう」

ほぼ日刊イトイ新聞
中原淳一さんのつよい気持ち

外見は内面の1番外側と言いますが、
まさに中原淳一さんはそのことを雑誌を通じて女性たちに伝えていたのですね。

▼印象的だった中原淳一さんの記事です。


断捨離ではない!
モノがない時代の素敵な暮らしの作り方

「断捨離」が流行る現代とは全く異なる、生活必需品に事欠く時代に「すてきなもの」を詰め込んだ自分だけの空間を持つことは、多くの読者にとって現実的ではなかったかもしれません。
だからこそ、こうした記事は読者に憧れや夢を与えました。

中原淳一展

インテリア雑誌を見て 真似できないけど素敵だな 、こういう暮らしをしたいな、 少しだけ真似っこしてみよう と自分のお部屋を少しでも素敵になるように工夫するのは、戦後の日本から変わらないのかもしれません。

一人暮らしを始めた時、絶対に素敵な部屋に住むんだ!家具と食器と観葉植物と…と夢いっぱいに詰めていましたが、インテリアショップで値札を見て打ち砕かられました。
なんとなくニトリで揃えてみたものの、丁寧な暮らしには最初の初期投資然り、それを維持するエネルギーと余裕が必要ということを学びました。

可愛い雑貨をお迎えすれば、埃が溜まらないようにお掃除をしなければならない。
可愛い食器は1枚ではなくてセットであるからこそ可愛さが倍増する。
季節ものの雑貨は片付けなければならない。
好きなものの解像度が高くないと系統がバラバラになってまとめるのが難しい。

何より、維持メンテナンスができるほどのマメでなければならない!

あなたの家にカーテンがゆれて、
清潔なテーブルクロスが部屋をいろどっているかどうか、
そんな部屋に住んでいるかどうかで、
あなたには目に見えない雰囲気が身について、
美しい印象を人に与えるのだということも知っていてください。

中原淳一展

素敵なお家に住んでいるということは、
きっと暮らしに心の余裕があるということ。
お部屋だけでなく自分の体や身の回りにも気を配れるということなのでしょうか。

憧れる…。
そういうものに私はなりたい…。

桐たんすこんなに可愛く置けるの素敵すぎる

理想のお部屋について考えてみました。

イサムノグチの間接照明、
窓際に1人がけのソファー、
祖母の桐箪笥、大きな窓、犬が寝られる広い玄関、
あとは床の間を綺麗に飾りたい。

そんなお部屋で余裕を持って暮らしたい。
外見は内面の1番外側。
内側からも外側からもそういう意識を持って一日を過ごしたいです。
(毎日は無理でも!まずは週1から!)

広尾で偶然入った中原淳一さんのお店

何年も前の話ですが長崎から東京に遊びにきていた友人から、広尾にある米倉涼子おすすめのフライドポテト屋さんにいきたい!
とリクエストがあり、上京後に初めて広尾に降り立ちました。
ランチが食べられるような値段のフライドポテトを食べました。(美味しかった)

その際にたまたま見かけた素敵なお店が、
後に知るのですが中原淳一さんのお店でした。(!)
親族の方が運営されているようです。

この日に買ったひまわりの便箋はとっておきのお手紙を書くときに使っていました。
今ならもう少しグッズも買えるかな。


2023年12月26日をもって閉店(この記事を書き始めた日)

えっ(;_;)

イベント出展やポップアップストアなどを開催するようなので、いつかまたそれいゆに出会う日を夢に見て。

展示概要

111年目の中原淳一展
そごう横浜店6階 そごう美術館
2023年11月18日-2024年1月10日

今年もたくさんの素敵な展覧会に巡り会えて幸せでした!
来年もいっぱい行きたいです。
精進いたします。

切り絵作家 ひら子

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