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たまに見る悪夢

高校の時のバスケの練習風景が時々夢にでてくる。

私にとって、バスケの夢は全て悪夢だ。

練習の中で、最もきつく、心がえぐられた
練習メニューがあった。

『スリーメン』という練習メニューだ。

速攻スタイルの1つで、オールコートをフルに使う。

コートのエンドライン(端)に両サイドと中央に
3人位置するところからスタート。

ドリブルをせず、パスのみでコート上を進んでいく。

最後はサイドライン側にいる選手が
レイアップシュート。

スピードを落とさず、3人のパスでつなぎ、
コートを1往復する。

この練習がとにかく過酷で悲惨だった。

サイド側にいる選手がレイアップシュートを外せば、
ペナルティとしてもう1往復、同じことを
しなければならない。

レイアップシュートが決まれば1往復で終わりなのだが、
シュートを外した数だけ何度も往復を繰り返す。

私は、このシュートをいつも外していた。

言うまでもなく、
その分往復を繰り返さなければならない。

私だって好きでシュートを外しているわけではない。

『シュートを外したらもう1往復』

このプレッシャーにいつも耐えられなかった。

ボールを思うようにリングへ放つことができない。

これが1往復から2往復へと負荷が増すとさらに地獄だ。

残りの2人は私と組むことをさぞかし嫌がっただろう。

私がシュートを外すもんだから、
何度も往復しなければならず、
往復を重ねるごとにヘロヘロになってくる。

肉体的にも限界を迎える。

スピードを落とさずに走ってなんかいられない。

スピードも集中力も落ちてしまい、
ますます最後のシュートが決まらなくなってくる。

そうならったら終わりだ。

一生、スリーメンが終わらない。

コートの外で見ている先輩の厳しい声が飛ぶ。

「スピード落ちてる!!」

「シュート決めろ!!」

私と組む残りの2人は、私が憎かったに違いない。

こういった夢を時々見る。

シュートがスパっと決まればいいのだが、
あの頃のように夢でもシュートを外している。

白い目でチームメイトが私を見ている。

『いい加減シュート決めろよ』

『バスケット辞めろよ』

そういう目で見ている。

目が覚めると、呼吸が荒くなって鼓動も
早くなっていることに気づく。

夢でよかったと心から安堵している。

あとどれくらい、この夢にうなされるのだろうか。

いい加減、いい夢を見たい。



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