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相手の何を見るか#8

 インタビューゲームをやるということは、その人の身体とか関わることでもある。
 声を発し、言葉を聴きとり、文字を書く。それらは全て身体で行われるからだ。

 インタビューゲームをしていると、内容にばかり気を取られている人がいるけれど、僕は結構その人が非言語的に発しているものを気にかけている。

 なぜかといえば、時に本人も気づいていない本音が隠れていることがあるからだ。身体は無意識的な信号も送ってきている。それを見逃さずに受け取ることで、より深いインタビューになると思っている。

 回数を重ねる中で、意識しておくと日常のコミュニケーションにも活かせると思ったことをいくつかあげておく。

 ただ、注意してほしいのは、これは相手の深層心理を暴くとか、心理誘導のために見るものではない。あくまでも相手からのシグナルとして使う程度だ。

「あなたは本音ではこう思っていませんか?」などとしたり顔で言われたら、興を削がれてしまう。
 わかったふりをしないで、シンプルに確認すればいい。
「さっきまでと雰囲気違うけど、なにか引っかかることがあるんですか?」
 そうすれば相手も話してくれるかもしれない。

 また、これが絶対的な法則でもない。

姿勢

 これは最もわかりやすく、気づきやすいこと。
「物事に取り組む姿勢」というくらいで、その人の立ち姿はそのままその人のあり方を表している。
 緊張している時は肩に力が入っているものだし、そうなると背中が丸まっているようにも見える。
 そういう時は、なるべく取り留めのない話から始めてみる。
 心の玄関がいつも開いているとは限らないので、閉まっている時はノックから入る必要がある。
 また、熱が入ってくると、知らず知らず前のめりになってくるものだ。身体の前後の動きを見ているだけで、全然違う。

声のトーン

 喋る速さが変わる時や、話すタイミングが変わる時は心境の変化がある。ゆったりと喋っていた人が食い気味に反応したり、その逆があったり。

 声の高さが変わる人もいる。低くなったり高くなったりしたら、その前のことについて必ず尋ねるようにしている。

身振り手振り

 感情が高ぶってくると、仕草は大きくなる。
 それぞれ癖としてやる動作が1つくらいはあるもので、その動作の大小を見ているだけで、感情の波はなんとなく伝わってくる。

 あまり身動きせずに喋る人が、なにか仕草をするということは大きなことだ。

 考え込む時は動きが止まりやすいので、動きが止まっている時は相手の考えがまとまるまで待つ。
 そこで沈黙を恐れて、矢継ぎ早に問いを投げかけると混乱してしまうことがある。

目の光

 表情と言い換えていいかもしれないけれど、特に目の光をよく見ている。話をしていると目に光が宿る瞬間がある。

相手の目を見る≠目に光が宿る。

 相手の目を見るだけなら、そんなに難しくはない。
 けれど、目の前の人に焦点を合わせて、正面から向き合う時というのは、ちょっと感覚が違うのだ。それができている時は目に光が宿って見える。
 そして、一方通行では成立せず、お互いの状態が整って初めて訪れる感覚だ。
 そういう状態になったら、もうなにを話していても心地良く感じられる。

 逆にピントがずれて、光が濁る時もある。
 そういう時はだいたい質問の意図や、自分の話している内容がちゃんと伝わっていない時だ。だから、もう一度繰り返したり、別の言い回しをするように心がけている。

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 職業的に人の話を聴くわけではないので、どこか一ヶ所だけでも気にしているだけでもだいぶコミュニケーションの質が変わってくる。

 話している内容よりも、目の前の人の身体と向き合うことを忘れない。

 

 

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