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生活する沖縄 #2|ギャルと退学と生徒会長

帰り道にある公園には、広い原っぱの脇に健康遊具といったらいいのか、足ツボコースとか懸垂するやつとか、ストレッチする用の遊具がある。
そこで身体を動かすことを無理やり日課としているのだけど、その公園はお昼過ぎから夕暮れまでの時間は、近所の人や子ども達がとにかく集まる場所になっているみたいだった。

そんな場所で運動をしていると、だんだん辺りに好奇心が充満し、いっぱいになるや否やそのもやを切り裂くように子ども達が話しかけてくる。

話しかけてくれるのは小学生たちだけではなくて、
近くの高校生三人組とは顔馴染みになった。
1人はギャルで、1人は生徒会長で、1人は先月高校を退学した。
この不思議な三人組はいつも明るくて、伸びやかで、少し不安げな感じがする。


「17歳って難しい」と彼らが言ったとき、多分、あまりのその眩しさに目をつぶってしまっていたと思う。

もちろん一切つぶってはないんだけど、そのくらい、そのくらい、夜の公園が確かに光った。

前も後ろも不確かで、アンバランスで曖昧な、茫漠としたその青色の時間にだけ許される不安。

難しいよねぇ。
難しかったと思う。
やりたくないことはいっぱいあって、だけど、この先そのやりたくないことが多く待ち受けているのもわかっていて、自分が持てる、世界に存在している選択肢の少なさに絶望していて、だから目の前しか見ないふりをする。


先に「17歳」を通過した先達として何か伝えられることはないか考えようとしたけれど、僕はギャルでも生徒会長でもなかったし、ましてや学校も退学していないから、いいことは言えないな。
高校を卒業してよかったとは思うけど、退学したことない僕は退学をした人生にとっては全くの未熟者だ。
だから何を言ったって、未熟者の退屈なアドバイスは彼らの不安をなでるだけで何も起こすことはできないんだと思う。

会社を辞める前、失敗した時に食っていけるかどうか、食っていけないならまだ会社にいた方がいいと、たくさん説得してもらった。
全て心配してくれてのことだからとても嬉しかったけれど、
だけどその時点での僕にとっての失敗は、「そのまま会社にい続けること」ただ一つだったので、どうしても説得が心に響くことはなかった。

屁理屈だし甘いんだろうけど、
やりたいことに近いことをしている人たちにとにかく話を聞きにいったら実体を伴ったまっすぐな話を聞くことができたから、大きな決断の時、誰に相談をするのかって結構大事だと思う。どんなに立派な人でも、自分の道にとってはつるつるでまんまるの未熟者かもしれない。


今日は公園で小5と懸垂対決をした。
めっちゃ負けた。


多分次も勝てない。

彼はイヤリングをしていた。

南の島は鳥が多くて、みんな見たことないのばかり。


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