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ムンクの叫びは叫んでない/1対100を考える

こんばんは、如月伊澄です。
今日の「学ぼう」シリーズは「ムンクの叫び」です。

【ムンクの叫び】

これ、正しくはムンクの「叫び」だそうです。
ムンクさんの描いた「叫び」というタイトルの絵。

真ん中の人が叫んでいるように見えますが、実はそうではありません。
あと、真ん中の人はムンクそのものだそうです。

では、何が叫んでいるのか?奥の黒い人影は?
空は赤く、水は青く、一体これはどんな絵なのか?

そもそもムンクは幻想的な絵、あるいは現実からかけ離れた幻覚のような世界を描く作家だそうです。
そして、この世界はムンクの見た世界を描いたもの。

ある橋の上で友人二人と歩いてたところ、急に強いめまいに襲われたムンク。黒い影の正体は友人でした。

空は真っ赤に染まり、水平線の遙か遠くからおぞましい(かはわかりませんが、とんでもない)叫び声が聞こえてきた。思わず耳を押さえ、立ち尽くすムンク。

そう、その景色を描いた絵が、この「叫び」。
ムンクは叫んでいるのではなく、耳を押さえて恐怖におののいていたのです。

ところで、海の果てから叫んでいたのは誰だったのでしょうか?
なんともクトゥルフ神話的ですが、ノルウェーとアメリカなので全く関係ないですね。

【叫びは2枚・・・・・・えっ、4枚?・・・・・・4枚あったッ!!】

ところで、どこかで「あれ、なんか自分が知っている叫びと違うな?」となった経験がある方もいらっしゃるのでは?

・・・・・・いるのか?

この「叫び」、絵画では4種類、別バーションが2種類あったりします。

ムンクは同じテーマで作品を何枚も描く画家だったそうで、それぞれの「叫び」も色使いが異なり、体験したばかりの「叫び」は色使いが濃く、強く。
年を取って記憶が薄れていくにつれ、淡く、柔らかい色使いになっていたようです。

まあ、本当のところ、何を考えて描いていたかは、本人にしかわからないわけですが。

【なにが絵を名画にしらためているのか】

さて、ところで「叫び」はなぜ有名になったのでしょうか?

叫びは、モナリザと同じく盗まれたことがあるのです。しかも、2回も。
盗みたくなるほどいい絵だったのか、盗まれるほどいい絵として評価されたのか、ともかく盗難によって「叫び」はさらに有名になりました。

ムンクは「叫び」ばかりが有名になってしまいましたが、実は27,000もの作品を残しています。しかし、彼の作品は故郷のノルウェーでは驚くほど評価されず、芸術の進む街、パリやミュンヘンでその芸術性が認められて初めて、故郷でも評価されるようになったそう。

そう考えると、芸術の「よさ」ってどこにあるのでしょう?
私たちは「これは名画だ」と知らされずに、名画を見て「これはすごい」といえるのでしょうか?

前回の記事で書いたように「知らないことで楽しめないのは損」だと思います。しかし、裏を返せば「知らないと楽しめない」のであれば、それは芸術鑑賞に向いていないとも言えるのでは?

もしモナリザが盗難にあっていなければ。
叫びが芸術の街で評価されていなかったら。

これらの絵は、私たちからどう評価されていたのでしょうか?

【100のいいねと1の称賛と】

モナリザの回では触れませんでしたが、モナリザが現代でこんなにも多くの人から評価されて、天の上でダヴィンチも嬉しく思っているのでは?とコメントしようと考えていました。

でも、もしかするとダヴィンチにとって本当に嬉しい評価は、依頼してきた絹職人の「ありがとう、素晴らしい絵だ」の一言であって、名も知れぬ誰かの100の賞賛ではないのかもしれない。

SNSの「いいね」も同じく。
100のいいねをもらうより、1のコメントをもらったほうが嬉しいことだってあります。

たくさんのいいねをもらっていても、筆を折る人もいます。
1の悪意あるコメントが、1000のいいねを上回ることもあります。
筆を折ってから「実は好きでした」「なんでやめてしまったの」と嘆いても、全ては遅すぎるのです。

スキも大事だけど、「いいな」と思ったらコメントしてみる。
少しハードルは高いけど、ちょっとだけ意識してやってみようと思う、今日のこの頃でした。おしまい。


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