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【こんな映画でした】723.[ストロンボリ/神の土地]

2021年 4月25日 (日曜) [ストロンボリ/神の土地](1950年 STROMBOLI, TERRA DI DIO イタリア/アメリカ 90分)

 「イタリア映画コレクション にがい米」の一枚。ロベルト・ロッセリーニ監督作品。主演カリンをイングリッド・バーグマン、撮影当時34歳。その夫アントニオにマリオ・ビターレ、撮影当時26歳。初めて。

 解説には「難民のカリンは除隊したアントニオと結婚し、彼の故郷ストロンボリ島に渡るが、過酷な生活に不満が爆発する! セミドキュメンタリーで描く強烈なマグロ漁や火山噴火の只中に放り込まれるバーグマンの凄絶な美貌は必見!」とある。たしかにバーグマンは美しい。それぞれの好みではあるが。

 簡単に言えば、収容所に入れられていたカリンがそこを脱出するために軍人であったアントニオと結婚することに。そして彼の故郷の島へ。その地名がストロンボリ。着いた途端にこんなところは嫌だ、とカリン。

 火山島であるこの殺風景な場所に耐えられないカリンが、神父に相談しながら何とかそこで生きていこうとするのだが、周りの冷たい(田舎的な)眼差しに耐えられずついに脱出を試みる。ラストシーンはその途上、火山を登っていく途中で力尽きて神に召されていくということのようだ。

 田舎暮らしの大変さ、よそ者に対する冷たく悪意のある見方などが描かれている。地元住民のアントニオは平気でも、よそ者のカリンには到底我慢できないレベルのものだ。いずこの地域も同じだということでもある。

 そういう意味では、救いのない映画だ。アンハッピーエンドである。やや演技過剰気味とはいえ、このイングリッド・バーグマンの美貌が周りとちぐはぐで、より痛ましく見える。

 なお映画の尺は、これまたデータで違う。DVDは90分ものであったが、IMDbwでは107分とある。エンドロールを別としても10分余りの違いは大きい。映画の問題点の一つだろう。公開上映される場所ごとに尺が違う。

 邦題は、原題そのままのようだ。ではあの不毛と思われる島を、どのように解釈すれば「神の土地」になるのだろう。

 ラストでカリンが神に助けを求めるが、やはり神は沈黙したままである。それは当然だろう。神がいちいち指示や提案をしていたら、人々はその希望・願望と違うとき、神を恨むことになる。だから神は沈黙。あとは人々が自分で考えて行動するしかないのだ。

 カリンについて言えば、そもそもは日常から考えておくもので、命の危険の迫った最後の状況ではもはや手遅れ。冷静に考えることができない。そのまま最期を迎えることになるのだろう。元来た方向へ山を下りていけば助かるのに、それを彼女は気づかなかったか、はたまた拒否したのか。どう解釈すべきだろうか。

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