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婦人的生活手引

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乙女視点の生活読本
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2015年1月の記事一覧

恋とチョコレートは少し苦い方が好い

昔、何気なく「自分はセルフネイル派である」ということを口にした時に、「そりゃあそうだよ。あなたのような人間がネイルを塗るなんていう官能的で愉しい行為をわざわざ他人にさせてあげる訳がないもん。キシコがセルフネイル派なことに対して何の疑問も抱かない」と言われたことがある。もしかすると私は人から見て、とんだ快楽主義者に映っているのかもしれない。 そんな自由気ままで自分本位な私が、一等官能的だと思う食べものは、断然タブレット。あの滑らかな凹凸に舌を這わせて、その後そっと歯を立てたな

唇のハレとケ

誰でも一本は持っているであろう、お気に入りのルージュ。それは目眩がするほどに真っ赤なものかもしれないし、無垢な少女に似合うような青みを帯びたピンクのものでも良い。 どんな色であれ、少しの斑(むら)も無く、美しく塗ることが出来た刹那、小さな電流が背中に走る。あの恍惚こそが、女の特権というものの正体ではないだろうか。 唇のハレの日、それは何かしら特別な出来事が想定される日。ホテルのバーで僅かに畏まりながらカクテルを選ぶとき。手を繋ぐか、それとも腕を組むのかと、距離感を測りかね