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【読書】「ハッカーと画家」

「ハッカーと画家」は私が初めて就職してエンジニア(プログラマー)になった時から書店でよく見かけていた本で、ずーっと長年気になっていました。
もう就職して約10年ほどたちますが、最近になってやっと読むことができました。

この本の内容はLISPというプログラミング言語を使う天才ハッカーによるエッセイです。
ちなみにハッカーと聞くとコンピュータを使って悪いことをする人をイメージする方もいるかもしれませんが、ここでいうハッカーとは高い技術を持ったプログラマのことです。

この本が発行されたのは2005年なので、15年以上前の本になります。
IT業界は特に変化のスピードが速いので、15年前と言えば今とは大きく異なります。
SNSはもちろんのこと、スマホもまだありません。
GoogleやAppleという会社は既にありますが、GAFAという言葉はもちろん生まれていないし、そもそもクラウドという言葉もおそらくまだなかったでしょう。

そういう時代に書かれた本であるため、少し内容が古めかしく感じる部分はあります。
しかしながら、この本は技術の解説や流行の解説をしているわけではなく、
・ハッカーという人達がどんな価値観を持っているのか
・どういう発想の仕方をしているのか
・仕事やお金にどう向き合っているのか
といった著者の哲学が中心となったエッセイとなっているため、今読んでも色あせていない内容は多く、得るものは多かったです。

エッセイとして書かれているため、プログラマでなくても楽しめるであろう章もありますが、後半はプログラミング言語や技術に関する話も出てくるので、プログラマ向けの本だと思って良いでしょう。

著者はLISPというプログラミング言語を崇拝しており、後半部分はLISPについて多くの記述があります。
正直なところ私はLISPは名前くらいは聞いたことがある、程度の知識しかなかったので、少し興味がわきました。

また、著者はLISPに限らず、Perl, Python, Rubyといった動的型付けの言語に好意的で、Javaなどの静的型付けの言語に対しては批判的です。

偏った主張だと思う部分もありつつ、ハッカー思考の人がどういう基準で使用するプログラミング言語を選んでいるのかについてはとても参考になりました。

ちなみに本のタイトルがなぜ「ハッカーと画家」というタイトルなのかというと、ハッキングすることと絵を描くことには多くの共通点があり、ハッカーと画家が非常に似ている人種であるというのが著者の主張です。

プログラミングを単なる問題解決のツールとして認識するのではなく、モノづくりやアートとして認識し、その本質をとらえた人こそがハッカー素質がある人なのかもしれません。

私はハッカーと呼ばれるほどの優れたプログラマではないし、今後もそうなる自信はありませんが、プログラミングに関わる仕事をする中で参考にしていきたい内容の多い本でした。


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