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人生100年時代 都を離れ、地方へ出よう 

 先に発表された総務省の統計によると、65歳以上の高齢者の就業率は25.2%だった。
 年齢別では65~69歳が50.8%、70~74歳は33.5%、75歳以上は11%であり、この10年間で65~69歳は13.7ポイント、70~74歳は10.5ポイント、75歳以上は2.6ポイント、それぞれ上昇したようだ。

 国立社会保障・人口問題研究所は、今後10年で、生産年齢人口は1千万人減少すると予測している。 国や企業は、女性や外国人に加え、高齢者の就業を更に促進する方策を考えるべき時ではないか。

 政府は本年、新しい観光立国推進計画を決定し、インバウンドの地方誘客の方針を掲げている。同時に、計画の実現のためとして、観光業における生産性の向上、高付加価値化を優先課題として位置付けている。
 現状、インバウンド需要は復活してきたものの、観光業は早くも人手不足が心配され、観光による地域活性化の行方は予断を許さない。

 筆者は近く65歳になる。2年前に東京から地方へ移り地域の人との交流を進めてきた。 地方は東京と比べ、情報や知識、人流の面で依然大きなギャップがあると実感してきた。

 政府は都会から地方への人流を作るべく、2009年度から「地域おこし協力隊」の制度を始めている。総務省によると、初年度に89人だった隊員数が、22年度になると6500人近くまで増え、20、30代が7割を占め、50、60代も応募しているという。そして、政府は26年度までに隊員数を1万人にする目標を打ち出したようだ。

 そこで、私は若者による「協力隊」に加え、シニアによる「地域おこし応援隊」の創設を提案したい。
 都会に住むシニアに故郷、もしくは、第2のふるさとで、地域の課題に取り組むことを勧めたい。地域には、人手不足に直面する観光関連の職種も含め、シニアが持つ経験や専門知識が生かされる場所があり、地域振興に貢献できると思うからである。

 シニアが地域で活躍できる分野として、例えば、営業やマネジメント、サービス等の職が挙げられる。人脈を活かして地場産品の販促や、管理の経験を活かして歴史ある商店の事業承継に関わるのもいい。接客に慣れた人は地域の文化や歴史資源を活かす通訳やガイドを行うこともできる。器用な人は伝統的な匠の技や手仕事を継承することもできるだろう。

 地域には空き家が数多くあり、住む場所には困らない。行政から空き家改修の補助が出れば、シニアは都会と田舎の2拠点生活がし易くなるだろう。家族も応援してくれるはずだ。
 自分は当事者として、地域に新しい付加価値を生み出す応援隊の一員として、今後も活動を続けていきたいと思っている。

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