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大学生の回顧録。


大学に入学してすぐの頃、授業で一緒になった、違う学部の友達と仲良くしていた。近くの人と話してみて、と授業で言われ、なんとなく話していたら意気投合した。人見知りの私だったが、向こうから来てもらえるなら話は別。連絡先の交換までその日にしてしまった。SNSもつながった。別に友達がいなかったわけではなかったが、その出会いには少しワクワクしていた。コミュニティがかぶっていないのをいいことになんでも話せる関係性が、心地よかった。初めは食堂で一緒にご飯を食べる程度の仲だったが、そのうち授業終わりにそのままどちらかの家に行ってゲームをしたり、深夜に呼び出して朝まで散歩したり、一緒に料理したりするようになった。寒い春の夜に鴨川で深夜3時まで語り合ったのは良い思い出。ノリで話すことが苦手な私にとって、真面目な話ができる相手は貴重だった。2ヶ月くらいの間だったけれど、毎日とても楽しかった。あーこれが大学生か。自由なんだな。そう感じさせてくれた相手だ。普段なら自分から誘えない私でも、その子なら気軽に誘えるようになった。誘ってもらったときには、特別用事が無い限り断ることはなかった。京都駅まで呼び出された日はさすがに最後まで渋ったけれど。いつも自由奔放な子で、やりたいことを次々と提示してくれた。それに付き合うのは悪い気などしなかった。私が「フッ軽」になったきっかけはきっとこの時期の無茶によるものだろうと思う。
自然と会わなくなっていったのは、お互いにサークルと部活が忙しくなったから。両方とも、その関係に執着していなかったのか、たまに連絡をとる程度になった。他に楽しいことはたくさんあったし、毎日バタバタしていたからあまり気にすることでもなかった。今ではもう一年以上も会っていない。
突然あの時期のことを思い出して、少しだけ懐かしくなったから回顧録としてこれを書いている。大学生ならではの、時間軸がふにゃふにゃの生活。なにも気にせず喋り続けられる友達。名前などつけられない曖昧な関係。もう経験できないし、したいかどうかも分からない。でも、間違いなく言えることは、あのときの自分が心の底からその生活を楽しんでいたこと。色んなものが今とは違って見えていたこと。そして、今という瞬間も二度と経験できないということだ。

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