不本意ながら素麺を食す
8月も終盤となった今日、今年初の素麺を食べる。
なぜこんなことになってしまったのか。
例年であればこの時期にはもう既に嫌と言うほど素麺を食べていた筈だ。
素麺が嫌いになったわけでは無い。
たまたまというか、そういうタイミングが無かっただけだ。
私は子どもの頃はそれほど素麺が好きでは無かった。
地元が名産とか謳っていた為か、夏になれば頻繁に出くわすことになる。
奴には飽き飽きしていた。
それが大人になり、自分の食習慣では、ほぼ食べることが無くなっていた。
奴にバッタリ再開したとき、初めて旨いと思った。
子どもの味覚は大雑把なもので、「表面的な味」のみに大きく左右される。
あの、繊細でツルッとして、プルっとした食感、爽やかさは他のどの麺にも真似のできないものだ。
そこがやっと分かるようになったのかもしれない。
これを夏に食べずにどうする。
一口に素麺と言ってもその銘柄で味、食感は大きく異なる。全国的に有名な銘柄であるからと言ってそれが旨いとは限らない。
というか、あくまでも私見であるが、あの腰の良さ、食感は、「〇保の糸」一択だと断言する。
有名だと言う、どこそこの素麺というものもいろいろ食べた。雰囲気は良い。涼しげで、爽やかな感じはする。
だが麺の腰が全く違う。そのどこそこの素麺というものを旨いと言って食べている人に、この「〇保の糸」を食べさせてやりたい。
あまりの違いに驚くだろう。
自分がこれまで食べていたものは一体なんだったのかと思う筈だ。
そしてこれまで「素麺などあまり好きでは無いと思ってきた」人にも、「ラーメンばっかり食べている」人にも是非この「〇保の糸」を食べさせてやりたい。
世界観が変わること間違いなしだ。
そして夏も終盤に差し掛かった今日、満を持して素麺を買ってきた。
例年では頂き物が結構あって、自分で食べるものを自分で買うと言うことさえ無かった。
それほど贈答品としても流通している。
それが今年はなぜか頂き物が無いので自分で買ってきたのだ。
贈答用のものは大きな木箱のものから、綺麗な化粧箱のものまでよく知っているが、自分で食べる用のものを買うのは初めてだ。
スーパーの売り場で、様々なは銘柄の様々な種類の小袋が並んでいる。
こうしてみるとこんなにたくさんの種類があったのだなと感心する。
大葉の刻んだのと、土生姜もお供にした。
家に帰って妻子に
「明日の昼は素麺にするぞ」
と断言した私に、妻が一言
「それ、〇保の糸じゃ無いやん」
・・・あろうことか間違えて違う銘柄を買っていた。
今日の 昼 は
不本意 ではあるが
今年 初の 素麺 だ・・・
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