1になりきれない感情
noteをはじめる前は、1になりきれない感情をいつも持て余していました。不意に頭の中で浮上する0.9の感情は、ざらざらとした触感でどこか居心地が悪いものだったけれど、それをフラットにする0.1のピースを見つけ出すことができなくて、どうしようもないそれを紙のノートへ書いていました。そして、約二年前にnoteへエッセイを書きはじめてから、時々『小数点以下の感情(0.999…)シリーズ』と、いう日常に感じる小数点以下の感情を綴るシリーズをはじめました。
すると、そうした小数点以下の感情は言葉の端切れとなって、 noteへ書くことができるようになり、それはまるで統一感は一切無いけれど、ひとつひとつが、心の襞を擽るような甘いものや心の傷痕を撫でるような苦いものへと転換されました。そしてその言葉は短歌でもない俳句でもない断片的な詩のようなものがnoteという海を泳いで行きました。これが皆さまの目に触れても意味が解らないものもあると思うし、逆に「あっ!」と、体感的に共感するものあると思います。どういったものを書いていたのか、今の私が好きなものを二十編ピックアップしてみます。
【小数点以下の感情(0.999…)シリーズ ピックアップ】
メンソレータムを塗ったあと季節の裂け目にキスをする。
いつかすべてを赦すために過去を語っている。
北極星をただの白い点だなんて言う君の心はプラスチック。
ほつれた胞子は風に吹かれて我を思い出す。
朝日のオレンジ色が爪にこびりついている。
点滅する赤がチラチラと脳みその底に溜まっていく。
炎症した空気がわたしの傷口を探している。
キミが吸い込んだ空気の粒子は花だったのかもしれない。
哀しみがニャーと言って塀を越えた。
DNAは螺旋階段。さっき誰かとすれ違ったよ。
遠くの国では怒りや憎しみが存在するとエミネムが言っているよ。
涙の堕落にも人肌の体温がある。
宇宙のはじまりはたぶん痛い筈なんだ。
街のひかりはきみの閉じた瞼の奥に宿っている。
美しいままに儚いままにさようなら。
きみが触れると小宇宙が生まれる。
シんでいくことは不幸ではない。
カーテンの隙間から夏が手を伸ばす。
ナイフの先から溢れる狂気よさようなら。
きみのくちびるから漏れる熱帯夜。
そんな、小数点以下の感情に埋れながら生きている、わたし。
このような、これがなんなのかと問われれば解らないけれど、これはこうだとはっきりと定義できない感情が言葉になりました。私はこの感情があるおかげでエッセイや小説を書く原動力になっていると、最近思うようになってきました。有難いことに、スキやコメントいただくと、とても嬉しくて、この凸凹した感情を言葉にして良かったと思っています。最近は、休業中のようになっているけれど、この『小数点以下の感情(0.999…)シリーズ』を、また時々発散させるように書いていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。
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