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スケトウダラの子(助子)でつくる  たらこの昆布締め

4〜5年前から仲卸さんに作り方を教わりカラスミを作り始めた。

カラスミはボラの卵を塩漬けにしたもの。これを塩抜きをして干した珍味。言わずと知れた高級品だ。

そのボラの卵が市場に出てくる頃になると助子(すけこ)と呼ばれるスケトウダラの卵も同時に並び始める。

仲卸さんの話によるとボラ子は高いから板前さんの中にはたらこで練習する人もいるらしい。

たらこのカラスミ。塩漬け後に干さなければそれはたらこではないか。

思えば市販品のたらこはほんどがロシアかアメリカ産、添加物を使っているもの多い。庶民の味方のイメージだけどそれなりにお値段も高い。

市場で助子として売っているスケトウダラの子は国産がほとんど、価格も市販品のたらこに比べればとても安い。


前述の通り、カラスミと作り方はさほど違わないし、もしかしたら自分で国産無添加のものができてしまうではないか。

そんな事で試しにつくったのがそもそもの始まりだった。

実際に作って見ると、このたらこ、市販品にはなく舌触りがとてもなめらかでしっとり。

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使う調味料は塩のみなのでたまごの美味しさをシンプルに楽しめる。最後に昆布で締めるので余分な水分が抜けて旨味が増すのもいい。

お酒が呑めない自分は白飯専門だけど、酒の肴にするなら軽く表面を炙ったり、カラスミのように数日間陰干しにして薄く切ったものをつまむのも最高だろう。

毎年仕込むようになった今は秋の終わり頃になると、今年はいつ助子が出るかなと待ち遠しく、そして買い逃さないようヤキモキしながら過ごすのが楽しい。

たらこの昆布締めのつくりかた

買ってきた助子は3%の塩水に漬ける。針や金串で表面の血管に穴を開け、その穴に向かって針でしごいて中の血を押し出す。

この下処理で見た目の美しさが決まる。

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たらこの下処理 動画はこちら。https://youtu.be/TT5Nk0_VCog

なかなか骨が折れる作業だが徐々にキレイになっていく卵を見ているとつい時間を忘れ夢中になってしまう。

表面がキレイになったらたっぷりの粗塩に浸けて水分を抜く。冷蔵庫に1〜2日置いておくとたくさんの塩は卵から出た水分でほとんど溶け、たらこは固く締まってくる。

まだ柔らかい場合は水分を捨てて塩を足し、もう1日置く。

まわりについた塩を洗い流し、それを今度はひたひたの水(真水より少し塩分があると塩が抜けやすい)に浸けて塩抜きする。せっかく塩に漬けたのにまた塩を抜くのか、という気もするが、塩漬けして中の水分を外に出すことで臭みも一緒に外に出してくれるのでこれは必ずやった方が良い。

途中何度か水を変えながら1〜2晩冷蔵庫に置き、たらこの芯がなくなり全体が柔らかくなり、適度に塩が抜けるまで行う。

塩分の調整ができるのも手づくりの良いところ。

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塩抜きしたものは表面の水分を拭いてから昆布締め用の昆布を巻き、2〜3日冷蔵庫に置いた後、-20℃以下の冷凍粉に24時間以上冷凍する。※注

*注 助子にはアニサキスがいる可能性が高いため、 厚生労働省の指導により-20℃で24時間以上冷凍するよう指導されている。