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家づくりで大切にしていること #3

里山の設計事務所きとかです。
住宅や店舗をつくるということは日常生活での活動と比べると
経済や環境、個々の人生においても非常に大きな影響を与えます。
だから家づくり、お店づくりに携わる上でまじめに伝えていきたいことがあります。

#2からのつづき

身の丈にあったバランス

<#1><#2>でお伝えしてきたことをすべて実現するために予算が大幅にふくれあがり、借入金額が増えて仕事に明け暮れ、せっかくの暮らしを圧迫してしまっては本末転倒。
予算と理想のバランスを考えながら、いろいろな選択肢を提示しています。

子どもと過ごす時間も大切にしたい。

中古物件の改装がおすすめ


改装と新築では経済的な負担の差がずいぶん出るので その後の生活の余裕が変わってきます。
以前、古い住宅を大改装したことがあります。
基礎、屋根、柱、それだけ残し、ジャッキアップして傾きを直したり基礎を補強し、外壁も新しくして 部分的に増築・減築したことがありました。
中も外も見た目には新築にしか見えないのですが、金額は新築よりかなり抑えられました。
せっかく新居を手に入れてそのために働く時間が大幅に増えて家族の心安らぐ時間が減ってしまい 犠牲にするものが増えてしまうのであれば いい住まいができたとしても 豊かな時間を過ごすことができず 勿体ないと思います。
この家は壊して新築しないと全然ダメだ、と決めつけずにいてほしい。
いろんな方法があります。使えるものは使う。
それは環境にとっても、人生にとってもよいことずくめです。

古民家ならなお良し。

コンパクトに小さく暮らす

他にバランスを取る方法としてはなるべくコンパクトにまとめること。
大きい家だと面積に応じて材料費も単純にあがります。
例えば子ども部屋をどうするか。
子ども部屋を必要とするのはほんの数年です。
子どもが出ていくと物置部屋になるケースが多いです。なんだか勿体無い。
なので視点を変えて間取りを工夫することで 子ども部屋にも使えるスペースを用意しておくのもありです。
小さい家でもストレスなく快適に暮らすコツ、窮屈に感じない暮らし方をご提案しています。

子ども部屋、悩みます。

お施主さんも積極的に参加する

お施主さんも壁をぬったり、フローリングにオイルを塗ったりするなど、DIYで参加できるところは参加してもらうことを提案したりします。
これは楽しめる方限定ですが。
ただ減額になるだけではなく、愛着がわく、メンテナンスに有利という利点があります。
一度自分たちでやっているとオイルを塗り直したり、壁を塗り直したりするのも気軽にできます。

外観に予算をかけるよりも庭に予算を

限られた予算のなかでやりくりするなら家で過ごす時間を大切にしたいので外観にはあまりお金をかけずにシンプルにするのをおすすめしています。
(立地条件にもよりますが。)
それよりも窓から緑が眺められるように庭の木々やエクステリアに重きをおき、外観は見えないぐらい緑の中に埋もれているほうが好きです。

日差しをよけて、目隠しにもなります。

暮らしを楽しむ

一生に一度かもしれない家づくりについつい振り回されがちですが、消費主義的な経済活動からすこし離れて暮らしを大切にし楽しむことに時間を使うことをおすすめしています。

例えば、梅干し、梅シロップなどの季節の保存食をつくったり。

完熟梅のシロップ、ひと夏もたない人気っぷり。
柿を瓶に詰めてほっておくだけ、絶品柿酢のできあがり。


服をつくったり繕ったり。
こどもといっしょに魚を釣ったり。
物を買うよりなるべく生み出すことを大事にしています。

その中で感じたり気づいたりすることは大いに価値があると思います。
消費者であることはやめられないけど、少し立ち止まって過度に消費することなくなるべく生産する楽しみを堪能する人が増えてほしい。
家づくりを通してそんなことも考えています。
家、という安心できる箱をつくるだけではなく、そこに住む方がより豊かに暮らしも楽しんでもらえたら、と考えながらいつも仕事をしています。

穴のあいた靴下もすぐ捨てずに可愛くお直し。

2023年4月27日 文:みもと


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