きとか (一級建築士事務所)

豊田の里山で営む設計事務所の日常。 仕事のこと、暮らしのこと。 自然、古いものが好き。…

きとか (一級建築士事務所)

豊田の里山で営む設計事務所の日常。 仕事のこと、暮らしのこと。 自然、古いものが好き。 農や子育てについても少し。 http://www.kitoka.com

マガジン

  • 我が家のリノベーション録

    なるべくゴミを出さずに自然素材を使ってつくる。 昔の家づくりを学び、実践し、循環のサイクルを感じる。 そんなこだわりのもと2013年から数年にわたって歩んだ我が家のリノベーション記録です。

最近の記事

手で植え、手で刈る田んぼの話 #1

うちは農家ではないですが、近所の田んぼを借りて「田カラ暮ラシ」という活動をしています。 山の田んぼから繋がっていく宝もののような暮らし。 田カラ暮ラシの活動は営農ではなく、ライフワーク。 部活のようにやりたい人が集まって、年間を通じて決まったメンバーで大人も子どもも楽しんで参加しています。 みんなが長く楽しく続けられるよう、お金をかけずに(機械はなるべく使わず、農薬、化学肥料もなし)四季折々、山でわいわい遊びながらお米を作っています。 2024年は1.5反ほどの田んぼを

    • 台所のもの、思い切ってなくしたら。

      キッチンでは、便利なキッチンツールやハイテク家電など、アレもコレもと、気を抜くとなんやかやアイテムが増えがちですが、減らしてみたら暮らしが心地良くなったというお話し。 もともと我が家にないもの。 炊飯器、食洗機、電子レンジ、電気ケトル、トースター。 基本的に加熱・保温機能のある電化製品はなるべく使わないようにしています。 例えば火力発電所で熱によってタービンを回してつくられた電気は各家庭に届くまでに送電ロス、変換ロスなどで5%程度消失するらしいです。 5%とはいえ、そのエ

      • 土間のある暮らし

        我が家の間取りは少し変わっています。 入り口のドアを開けるとすぐ土間。そしていきなりダイニング。 玄関、エントランスホール、廊下などがありません。 ある意味、玄関で暮らしているような我が家。 ここは家族の中心的スペースであり、ゲストをお迎えする応接間的なスペースでもあります。 子育ての悲喜交々も、仲間とかたらう楽しい宴もみんなこの場所で深まっていきます。 思い入れ、思い出がたっぷり詰まった場所。 8畳の事務所を含んで26.5坪しかないコンパクトな家屋に4人暮らし(+オカメイ

        • 火のある暮らし 2

          火の有効利用 火があると常に湯や茶を沸かしています。 エネルギーを効率よく使いたいという名なの「ガス節約」。 できた湯はポットや水筒に移し替えておき、水で薄めて洗い物に使ったり、顔を洗ったり。 料理や飲み物としても沢山使うので、この時期コンロの使用頻度が激減します。蛇口からお湯を出すのはお風呂場くらい。 足元が寒い時や寝る時には湯たんぽをつくって暖をとるなど、贅沢にお湯を活用しています。 熾火も利用 薪ストーブでできた熾火は、火鉢に移して机の下や寒い部屋に移動すると局

        手で植え、手で刈る田んぼの話 #1

        マガジン

        • 我が家のリノベーション録
          4本

        記事

          我が家のリノベーション録 <荒壁・中塗り>

          半年発酵させた土壁に藁を混ぜて荒壁塗りスタート 竹小舞でつくった下地にコテで押し付けるように塗っていきます。 裏側からみると「ぶちゅっ」と程よくはみ出してるのがいい具合。 片面塗ったら1ヶ月強乾かして裏側も塗るのですが、乾かし途中に発芽してる稲を発見! 壁に命が宿るなんて、素晴らしすぎます。 両面塗って更に1ヶ月強乾かし、表面が割れてくると荒壁塗り完成です。 荒壁塗りの後は中塗り 荒壁の凸凹を整える「大直し」で下地を作り、その上から仕上げをしていきます。 その昔、

          我が家のリノベーション録 <荒壁・中塗り>

          我が家のリノベーション録 <竹小舞づくり>

          現代では壁の下地といえば、9割以上が「石膏ボード」という新建材を使用しています。安くて加工性がよく、透湿性、防火性もあるため言うことなしの材料のようですが、その裏には「産業廃棄物問題」などが隠されており、環境破壊の要因に成りかねない危うい材料でもあります。 昔といえば、壁の下地は竹を縄で編んでつくる「竹小舞」や板でつくる「木ずり」が一般的で、今回のリノベーションではその両方をやってみることにしました。 今回はその「竹小舞づくり」の話。 竹を集めるところからやってみる ま

          我が家のリノベーション録 <竹小舞づくり>

          我が家のリノベーション録 <土壁づくり>

          土を発酵させる まずは庭に即席プールをつくり(木枠とブルーシート)、そこに三河の赤土と無農薬の稲藁を入れて混ぜます。 月1ペースで天地を返し、半年間発酵させると壁に塗れる土壁(荒壁)ができあがりますが、天地返しは生半可なくしんどいです。 3ヶ月くらい経つと、表面の茶色い土の下にはグレーの発酵した土が。 掻き混ぜると田んぼのようなドブのような匂いが漂います。 土壁は再利用できる 土の発酵と並行して、家の解体作業も進めました。 聚楽壁の壁を掻き落としていくと、下には土壁

          我が家のリノベーション録 <土壁づくり>

          季節の仕事 <どくだみ化粧水づくり>

          初夏。 小満の頃。 ドクダミの季節がやってきます。 そっと日陰にたたずむ可憐な花をみかけると思わず笑みがこぼれます。 こんなに可愛いのにドクダミって名前、ちとヒドイなーと思います。 ドクは百歩譲って許容するにしてもダミって何。 そしてこの無尽蔵に生えてきて超迷惑な雑草扱いのドクダミを焼酎で漬けてつくる化粧水がかなり肌年齢を下げてくれるとの情報をキャッチ。 お肌がキレイな80歳のおばあさんに何をつけているか訊いたら、40代のころからずっと手作りのドクダミ化粧水だという話。

          季節の仕事 <どくだみ化粧水づくり>

          《至福》 山でお茶摘み、自作の新茶で一服。

          新緑の鮮やかな季節、つまり茶摘みの季節がやってきました。 都会の方はご存知ないかもしれませんが、山にはお茶の木がわんさか自生しています。 私も田舎に来るまで知りませんでした。 実はそんなに田舎じゃなくても緑があるところならおそらく生えてると思います。 それくらいよく見かける木。椿に少し似ています。 うちの庭にも勝手に生えています。 この時期はとりわけ柔らかく瑞々しい新芽の美しさに目を奪われます。 そして新芽をみると、つい摘みたい衝動にかられます。 竹籠もっていざ山へ!

          《至福》 山でお茶摘み、自作の新茶で一服。

          我が家のリノベーション録 <日干しレンガをつくってみた>

          ことのはじまりは薪ストーブ 築30年の民家、改装して薪ストーブを設置することは決めていました。 薪ストーブって夏は使いません。(当たり前。) 我が家は比較的温暖な地域なので、使うのはせいぜい半年です。 つまり残りの半年はただのかさばるオブジェと化すわけです。 なので、見惚れるくらい美しいもの、不使用時もニヤニヤできるくらい気に入ったものにしたいと思いました。 そして、そのストーブの存在感と調和し引き立ててくれるような炉壁については結構悩みました。 炉壁とは薪ストーブの熱によ

          我が家のリノベーション録 <日干しレンガをつくってみた>

          家づくりで大切にしていること #3

          里山の設計事務所きとかです。 住宅や店舗をつくるということは日常生活での活動と比べると 経済や環境、個々の人生においても非常に大きな影響を与えます。 だから家づくり、お店づくりに携わる上でまじめに伝えていきたいことがあります。 <#2からのつづき> 身の丈にあったバランス <#1><#2>でお伝えしてきたことをすべて実現するために予算が大幅にふくれあがり、借入金額が増えて仕事に明け暮れ、せっかくの暮らしを圧迫してしまっては本末転倒。 予算と理想のバランスを考えながら、い

          家づくりで大切にしていること #3

          家づくりで大切にしていること #2

          里山の設計事務所きとかです。 住宅や店舗をつくるということは日常生活での活動と比べると 経済や環境、個々の人生においても非常に大きな影響を与えます。 だから家づくり、お店づくりに携わる上でまじめに伝えていきたいことがあります。 <#1からのつづき> 美しいこと 時を経て味わいが増し、なお美しいもの・素材を使い、 時が経つにつれて醜く汚らしくなるものは使わないよう意識しています。 暮らしの中に自然をとりいれ、四季を感じ周りの景観に対しても調和することを大切にしています。

          家づくりで大切にしていること #2

          繕う暮らし <金継ぎ編>

          金継ぎとは割れた器や花器などを漆を使って修復する伝統的な手法。 物を大切にする心はもちろんですが、割れや欠けの跡を傷としてネガティブに捉えるのではなく、今までになかった新しい景色として愛でる。 そんな日本人特有の美学、感性があります。 お気に入りの器が割れてしまってドン底に悲しい気持ちから、 金継ぎによって器が割れる前より素敵なものになる感動的な喜びがあります。 九回裏からの逆転満塁ホームランくらいのインパクト。 漆を用いた継ぎは縄文時代からある修復方法です。 本漆を使った

          繕う暮らし <金継ぎ編>

          家づくりで大切にしていること #1

          里山の設計事務所きとかです。 住宅や店舗をつくるということは日常生活での活動と比べると 経済や環境、個々の人生においても非常に大きな影響を与えます。 だから家づくり、お店づくりに携わる上でまじめに伝えていきたいことがあります。 住む人はもちろん、つくる人や未来のこどもたち、地球で暮らすすべての人がしあわせになれる家を思い描くことが大事だと考えています。いつか不要になったときに地球の環境を汚すことなく自然に還ることを考えたうえで現実的なバランスを提案することが私たちの責任だと

          家づくりで大切にしていること #1

          はじめに / 設計に対する想い

          私たち「きとか」は豊田の里山にある設計事務所です。 モットーは暮らしを豊かに美しく。 建築作品をつくるのではなく、お施主さんと一緒によりよい暮らしをつくることを大切にしています。 ものをつくるということ 私たちは家をつくったり建築を生み出すということについて考えている中でテキスタイル / ファッションデザイナーであるヨーガンレール氏(1944-2014)のものづくりに共感し感銘を受けました。 彼は自然と共存する上で「物をつくって売る」ということの責任を感じながら、ものづく

          はじめに / 設計に対する想い

          火のある暮らし

          我が家の暖は薪ストーブがメインです。 補助的に灯油ストーブと火鉢。 ちいさな家はそれだけで暖かい。 アメリカには「薪ストーブは3度人を温めてくれる」、 という言葉があるそうです。 1度めは薪を集めて割るとき。 (なるほど、温まるというか汗だくです。) 2度めはストーブに火をつけたとき。 3度めはストーブで調理した料理を食べるとき。身体の芯から温まります。 薪ストーブ生活の良いことはそれだけではなく、 ストーブの上にやかんをかけておくと いつでも熱々の湯がたっぷり使えます