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ブロックチェーンが"人類の進化を加速させる" - プロに聞いた仮想通貨やNFT、Web3.0やメタバースの熱量と本質論

[この記事とは?]
ブロックチェーン領域のプロに聞いたブロックチェーンの領域の面白さや熱量の在り処を、専門外の人間が読んでも分かる形で解説している記事。

ブロックチェーンや仮想通貨が話題になってから年月が経ち、2021年にはNFTが盛り上がりをみせ、2022年になってからはWeb3.0が叫ばれるようになった。

一般的な情報収集としてWeb3.0やNFTについて調べてみても、実のところ私の頭ではよくわからなかった。というよりも、識者それぞれが別のことを言っていたり、ポジショントークが中心であったり、はたまた私でもわかるレベルで無知なことを言っていたり、何が正しいのか全くわからない記事や書籍が目立っていたからだ。

とはいえ何かしらの熱量を感じることは事実であり、その本質部分を知っておきたいと思って身内で勉強会を開くことにした。とはいえ、素人が集まってもしょうがないと思い、ゲスト講師となる人を探していた。

ゲスト講師をお願いしたい人を探すべくインターネットでブロックチェーン領域の記事を読み漁っていると、一人だけ異次元の解像度でこの領域を語っている人がいた。現在、Gaudiy社のCEOや大企業含め様々な企業の技術顧問を務める石川さんだ。

話を聞くならこの人だと思い、身内の勉強会のゲスト講師をお願いしてみると、石川さんとしても一般的な人のWeb3.0等々への解像度がどの程度か知りたいということもありご快諾いただいた。(下記の記事などがとてもわかりやすかった)

このエントリでは、石川さんに対して素人の私+数名がブロックチェーンやNFT、仮想通貨やWeb3.0、メタバース等について質問させていただいたことをベースに、私なりに解釈したブロックチェーン領域全般の熱量と、そこを裏付ける「面白さ」の部分を記す。これからどうなるか、何が流行るか、儲かるか、といったことは記述しない。なお、この領域のプロというわけではないので、技術的な面で不備等があればご指摘いただきたい。

※ このエントリでは、NFTや仮想通貨、Web3.0、メタバース等をあわせ、ブロックチェーン領域という呼び名で記載する。

ブロックチェーン領域の3つの魅力

石川さんと対話していく中で、ブロックチェーン領域には大きく3つの魅力があると感じた。それぞれの詳細については後述していくが、ここでは簡単に概要だけ記す。

1つ目は、ブロックチェーンというもの自体の成り立ちだ。現代のミステリーのような成り立ちであり、そしてそれが広がっていく過程そのものに魅力があった。

2つ目は、既存の社会のルールを大きく変えていくゲームチェンジャーとしての可能性だ。

3つ目は、ブロックチェーン技術が人類の進化を加速させるという点だ。

とはいえこれだけでは全く伝わらないと思うので、ここから詳細を記す。少し長くなるが、面白い世界が広がっているのでぜひ読んで、考えてみてほしい。

そもそもブロックチェーン技術とは何か

話の大枠を掴むために、まずはブロックチェーン技術とは何かという部分のコンセプトだけ説明する。

ひとことでいえば、「事実上虚偽が発生しないシステム」ということとなる。なんだそれだけのことかと思わされるが、これが非常に大切なことになる。

さて、現実世界でいえば詐欺(虚偽)の存在が常に付きまとうため、商取引においては担保を求めたり(ex. 借金、家の購入)、物と同時に有形の貨幣を交換したり(ex. コンビニでのお弁当の購入)、国家権力という第三者機関によって取引の安全性を担保(ex. 警察という抑止力)している。

しかし、デジタル世界においてはそのような仕組みは存在しないため、通常はプラットフォーマーと呼ばれる信用できる第三者が取引に介在することで取引の安全性を担保している。

例えば、中古品の売買におけるメルカリのような信用できる第三者機関がいることで、知らない相手とも安心して売り買い出来るようなイメージだ。

とはいえここにはリスクがある。プラットフォーマーが倒産してしまったり、ハッキングにあってしまったり、大規模災害が起こってしまった際などは、第三者機関が正常に機能しないがゆえに取引が停止してしまう。

つまり、電子取引においては潜在的に下記の2つの問題を抱えている。

  • 虚偽を防ぐためには第三者機関が必要

  • 第三者機関に問題が発生した時は、取引が停止してしまう

これれらの問題を解決するためのアプローチとして「分散型」とよばれる形態を採用したのがブロックチェーン技術といえる。

つまり、国やメルカリのような第三者機関が存在しなくとも、その通貨に関わる多くの人がお互いの取引内容が正しいことを証明できさえすれば、第三者機関が存在せずとも「虚偽が発生しないシステム」が実現できるのではと考えたのだ。

例えば一対一の取引で詐欺があったことを証明するのは難しいが、その取引を100人の人が同時に観察していたら、詐欺があったことを証明することは簡単な作業となる。これと同じようなことを、デジタル上で実現できる仕組みが生み出されたのだ。

そして、その仕組みは第三者機関が存在しなくても存続するような「分散型」として構想されたがゆえに、システムに参加する特定の誰かがハッキングされたり災害に巻き込まれたりしてもシステム全体は大きな問題なく存続していくため、安定して取引が継続できると考えられたのだ。

ここまでの話をまとめると下記の2点に集約される。

  • ブロックチェーン技術によって、事実上虚偽が発生しないシステムが実現できるようになった

  • ブロックチェーン技術は分散型をベースとしており、信用できる第三者がいなくとも安定した商取引を継続できるようになった

このたった2つのことが、世の中を大きく変える魅力を持っているのである。

ここからはその魅力の詳細をお伝えしていく。

魅力1: ブロックチェーン領域の成り立ちと、サトシ・ナカモトという現代最大のミステリー

ブロックチェーン領域に関わる方ならば、サトシ・ナカモトという名前を聞いたことがある人がいるかもしれない。この領域のすべての始まりは彼(彼女)であり、彼が2009年に投稿したひとつの論文から世の中に広がっていった。

原文はこちらから読める
https://bitcoin.org/bitcoin.pdf

日本語訳はこちらから
https://www.kk-kernel.co.jp/qgis/HALTAK/FEBupload/nakamotosatoshi-paper.pdf

この論文には現在の仮想通貨やNFTのコンセプトがほぼ全て書かれており、彼の思想に乗って実現されたのが現在の仮想通貨やNFTブームといえる。

さて、ブロックチェーン領域に疎い人でも「ビットコイン」という名前は聞いたことがあるであろう。ビットコインはブロックチェーン技術を使って作られた最古の仮想通貨であり、現在においても最も時価総額の高い仮想通貨である。

ビットコインは2009年に誕生し、2010年5月22日、ビットコインが誕生して1年あまりが経った頃、1人の男性が1万ビットコインを支払って2枚のドミノ・ピザを購入した。これが世界で初めて仮想通貨で商取引が行われた日であり、毎年5月22日は「ビットコイン・ピザ・デー」と呼ばれるようになった。ちなみに、1万ビットコインは現在価値に換算すると400億円ほど(2022年2月時点)である。ピザ2枚なので、数千円程度だろうか。それが、たった10年ちょっとで数百億円に化けたのである。

これだけだと、ただの投機の話に思えるかもしれない。しかし、本当に面白いのはこの裏側の話である。


ところで、ビットコインは誰が運営しているのだろうか?

ビットコイン社の社長がいるのだろうか。Facebookのマーク・ザッカーバーグのようなカリスマ社長がいて、今頃は超大金持ちとして世界に君臨しているのだろうか。

石川さんに問われるがままにビットコインの運営会社や社長を考えてみたが、私はまったく思い浮かばなかった。

知らなくて当然だった。

なぜなら、ビットコインを運営している企業はおろか、運営母体といえるものも存在しないからだ。

サトシ・ナカモトの論文に刺激された世界中の数学者やプログラマーが結集してビットコインを実装していき、そして、特定の運営者がいないにも関わらずこのプロジェクトは進み、やがて世界中で取引される仮想通貨となったのだ。

この事実に、私はとても驚いた。

世の中を前に進めてきた会社や国というものは、誰かが強力なリーダーシップを発揮してつくられてきた。トヨタもソニーもそうだ。もちろんAppleもGoogleもAmazonも、強力なリーダーのもと、中央集権的な仕組みで作られてきた。

ところが、ビットコインには、そのようなリーダーが存在しない。

ビットコインの時価総額は現在約80兆円だ。日本の国家予算が100兆円程度と考えると、単純比較すべきものではないとしても、その規模の大きさに驚くだろう。そして、それらを中央集権型ではなく分散型で作り上げてきたことに、それ以上に驚かされた。

さて、ここでひとつの謎が残る。

現在における仮想通貨のコンセプトをすべて記した論文を2009年に発表し、世界に仮想通貨ブームを引き起こしたサトシ・ナカモトとは一体誰なのだろうか?

ここに、現代最大のミステリーがある。

現時点で、サトシ・ナカモトが誰なのかは判明していないのだ。

私たちは、誰が投稿したかもわからない論文によってビットコインを生み出し、そしてそれらに熱狂し、これらの技術をベースとしたWeb3.0という熱狂に移行しようとしている。生み出した人は、誰であるかわからないのに、だ。


ここまでがブロックチェーン領域の簡単な成り立ちと、私たちを魅了する現代最大のミステリーについての話だ。

ここからは、ただの「虚偽を防ぐだけのシステム」がなぜ社会のゲームチェンジャーとなりうるのかという話を、可能な限り簡単なことばで説明していく。

魅力2: ゲームチェンジャーとしてのブロックチェーン技術

仮想通貨やNFTは、投機的なバブルといえるのはほぼ間違いない。数年で資金が10倍、100倍となった事実に刺激を受けた世界中の人が、この領域に投機的に資金を注ぎ込んでいる。

とはいえ、投機的に仮想通貨を購入している多くの人は、仮想通貨を使って買い物をしたこともないだろう。そしてそれらを使って買い物ができるお店もほとんど存在しない。つまり、彼らの多くは実際は使うことが出来ない「仮想のお金」を持っているだけと捉えることも出来る。

この事実だけを見ると、ただの投機としか思えないだろうし、現に私もただの投機対象として仮想通貨やNFTを見ていた。

もちろん、これは仮想通貨やNFTのひとつの側面であることは否めない。しかし、本質はそこではない。

この本質にたどり着くためには、貨幣についてゼロから考え直す必要がある。


ところで、サトシ・ナカモトの論文をベースに生み出された当初のビットコインには、何かの価値があったのだろうか。

いまでこそ高い価値で取引されているビットコインだが、生み出された当初のビットコインには、当然何の価値もなかった

今あなたが読んでいるテキストに何ら価値がないのと同様に、ただのデジタルデータの配列であるビットコインにも当然のように価値はなかった。

では、なぜビットコインにはここまでの価値が生まれたのだろうか?

それは、ビットコインに関わる人達(=コミュニティ)がビットコインの価値を高めるための活動をし続けてきたから、ということに尽きる。

つまり、本来的には無価値であったものの価値を信じ、その価値が高まるようにコミュニティとして行動し、さらにはコミュニティ外の多くの人を巻き込んでいくことによって、より価値が高まっていったのだ。

その結果として、前述のように「ピザと交換」出来るようになったり、それらが何十億円という単位で取引されるようになっていった。

なるほど。その理論でいえば、たしかにそうかもしれないが、この事実とゲームチェンジャーという話は何ら繋がらない。

そこを繋げてくれるのが、有形貨幣の成り立ちだ。


日本に住む私たちは、多くの場合に日本円を使って買い物をする。

日本であれば、1円はどこに行っても1円であり、1万円はどこにいっても1万円である。私たちの知るこの当然の事実は、本来は当然の話ではない。

考えてみれば当然だが、あんな紙切れ一枚がなぜ食べ物と交換できるのだろうか。なぜ服と交換できるのだろうか。普通に考えれば、そんな事はできるわけがない。

何故その交換が可能になるかといえば、国がその価値を保証しているからだ。1円玉は1円であって、1万円札は1万円であると。

ではこの1万円札は、宇宙で異星人相手に使うことが出来るのだろうか。これは当然ながら、使うことができない。異星人には1万円の価値が当然伝わらないからだ。

ではそれは何故なのだろうか?

その理由は、その価値に対しての共通認識を持つためには「共通のルール(=法)」と「そのルールが守られるための仕組み(=国による執行機関)」が必要だからだ。

例えば、日本ではコンビニで万引きをすると、窃盗罪に問われて捕まる。このルールが商取引の安全性を高め、さらには犯罪を取り締まる警察組織があるからこそ、結果として通貨の価値を守ることにもつながっている。

つまり、円という共通のルールを作り、そのルールに従って取引を行うことの安全性を国が国家権力を使って保証することで、私たちは日本国内でどこでも円を使って買い物ができるといえる。


ところで、貨幣が通用する範囲はどこまでなのだろうか。その限界がが国の範囲といえそうである。ではその国ではなぜその貨幣が使えるのだろうか。それを裏付けるのが法だといえる。

鶏卵のような議論だが、この部分がブロックチェーン領域のコアな部分に関わるため、あと少しだけ続ける。

国民の側からみれば、貨幣は国への信頼から成り立つといえ、その信頼の背景にあるのは国が国民に対して守るべきルールである憲法、そして国民同士で守るべきルールとして定められた各種法律等であり、それを守らない人に対して国を代理する政府や警察等の国家権力が処罰するという原則のもと、貨幣による経済が成立するといえよう。

つまり、突き詰めれば貨幣は国のルールと密接に関わるものであり、貨幣が存在するところにはルールが必要であり、そのルールは国によって作られる。そしてそのルールを私たちが守るからこそ、その貨幣の価値が保証されていく。

このように考えるならば、同じ貨幣を持つ者同士は同じルールを共有した「ひとつの国」に属しているということが出来る。

つまり、ブロックチェーン技術を利用して新しく通貨を発行するということは、国を新しく作るということと同義といえるのだ。


ところで、ここまでの話であれば、これまでの貨幣の歴史となんら変わらない。ブロックチェーン技術ならではの違いはどこにあるのだろうか。

この議論が、Web3.0やメタバースの議論へとつながっていく。


私たちが生きるリアルな世界は完璧なルールで運営されているわけではない。不完全なルールで運営されていて、さらにはその執行体制も完全とは言えない。

例えば、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」と刑法に定められているにも関わらず、その事実が露呈しなければ死刑になるどころか捕まることもない。

つまり、ルールがあったとしても、それが常に完全に執行されるわけではない。ルールの完全な執行には、莫大なコストがかかるからだ。

これはお金がまつわる商取引の分野でも同様のことが起こっている。例えば、何かを担保にして借金をするケースなどだ。

家を担保にして1000万円の借金をするケースを考えてみる。お金を貸す側としては貸し倒れのリスクを考慮し、担保として設定された家に対して1000万円程度の価値があることを見極めた上でお金を貸す必要がある。当然、担保価値を判断するためにはコストが掛かる。

もしこれが100円の借金だとして、100円相当と思われる手描きの絵を担保にしたいと言われたらどうなるだろうか。そもそも絵の価値を判断出来るかどうかわからないし、担保の価値を判断している間に働いてしまったほうが多くの金を手に入れられるだろう。

また、無担保で100円を貸した場合に借金の返済を断られたらどうするだろうか。100円のためにわざわざ借り手の家に出向いて返済を求めるだろうか。

つまり、取引に付随する行為の負担がある限り、少額取引が成立しないケースが出てくるのである。

しかし、これがデジタルの世界になると話が変わってくる。

担保価値の判断は一瞬で終わり、多少の計算コストはかかれどそれは十分無視できる規模であり、リアル世界では実現できなかった少額の取引も実現していくことが出来る。

また、ブロックチェーン技術の特徴のひとつである「虚偽を防ぐ仕組み」により、リアル世界では完全には守られなかったルールのすべてを機械的に守らせることが出来るようになる。

つまり、この点においてデジタル世界がリアル世界を凌駕するのである。

これらを応用していくことで、商取引だけでなく多くの領域においてデジタル世界がリアル世界よりも居心地の良い場所へと変わっていく可能性が高い。この変化は不可逆であり、どこかの地点でデジタル世界の優位性が勝るタイミングが来る。

これがメタバースの実現だといえる。

※ メタバースの定義については諸説ある


ここまでの議論をまとめると、下記のようになる。

  • 通貨を作ることによって、ある種の国を作ることが出来る

  • その国には、守られることが保証された(もしくは守るインセンティブが非常に高い)法を作ることが出来る

  • 法を守ることがその通貨の価値を向上させ、その価値向上自体がより多くの人を巻き込んでいく

つまりは、ブロックチェーン技術を利用して仮想通貨を生み出すことは国作りと同義であり、そこではさまざまな規制によって実現できなかったビジネスや思想を実現していくことが可能となり、この点において既存世界に対するゲームチェンジャーとなりうるのである。

さて、ここまでは主に理論の話であったが、はたしてこれらをどのように実現していくのだろうか。そして、それらが実現した先には何があるのだろうか。そこについてこれからお伝えしていく。

魅力3: 人類の進化を加速させる、知の総合格闘技としての国創り

2021年頃から話題になってきた言葉としてDAO(Decentralized Autonomous Organization)というものがある。これは日本語にすると「分散型自律組織」とよばれ、イメージとしては下記のようなものである。

  • DAOが発行するトークンを持つことでDAOに参加できる

  • DAOの活動が活発になればなるほどトークンの価値が高まり、リターンを得られる

つまるところ、参加型の株取引のようなものだ。
株取引ではその企業が発行する株式を購入することで間接的にその企業を支援し、企業活動が成功することで株価が高まり、投資家はリターンを得る。

なるほど当然の仕組みのように思えるが、企業活動の主体となる社員が儲かるわけではなく、企業活動の成功によって何故か投資家が儲かるのである。ここに、株式会社の矛盾が存在している。

ところがDAOではこのような問題が解消できると言われている。DAOの参加者すべてがトークンを持っているため、投資家と労働者といった分け方はそもそも存在しない。さらにはトークンの価値を上げるためのインセンティブが働きやすく、より積極的にDAOの活動を行うといわれている。

さて、ここでひとつの問題がある。
DAOのトークンはどのように分配すればよいのだろうか。

どのようなルールで分配すれば平等なのだろうか。いくらで販売すれば納得感があるのだろうか。たとえばトークンの持ち主が死んでしまった場合どうするのだろうか。過半数のトークンを持つ人間が多数決に参加できなくなった場合どうするのだろうか。

このように、誰もが納得する形でのトークンの分配、すなわちDAOの設計は非常に難易度が高く、私のような一般人では到底実現できない。では現状どうやっているかというと、経済学者や社会学者といったアカデミックな分野の専門家とタッグを組んでこの難問に向き合っている。

では何故、学者勢がDAOのような分野に興味を示すのだろうか。この問の答えが、「ブロックチェーン技術が人類の進化を加速させる」という部分と密接に絡み合う。


ところで、自分が所属するDAOが崩壊してしまったらどうすればよいのだろうか。その場合、他のDAOに移るという簡単な選択肢が存在している。自分が所属する国がなくなってしまい難民になるといったケースとは大違いだ。

また、同時に複数のDAOに所属することも全く問題ない。外国の国籍が取得できず移住できないといった問題は、デジタルの世界には存在しない。

このことが、通常の会社組織や国とは全く違った展開を生み出す。

通常、私たちは複数の国に所属することは出来ない。それゆえに、国のルールもそのことを前提として作られている。会社も同様であり、副業等々の文脈はあれど、一人がひとつの会社に所属することを前提として日本の各種制度は作られている。

その事実が、一つの問題を作り出す。

例えば、日本国憲法が毎月変わったら日本はどれだけの混乱に巻き込まれるだろうか。民法の改正が大きなニュースになる程度には法改正はその国に住む人にとって重要な話であり、それゆえに一度作った法を容易に変えることは出来ない。

つまり、一度生み出したルールを検証しつつ改善していくことは事実上不可能であり、そのことが国そのものの進歩、人類そのものの進歩をスローダウンさせているといえる。

ところがDAOになると、話が変わってくる。崩壊すれば他のDAOに移ればよいし、一度に複数の、なんなら一度に1000個だろうが1万個だろうがDAOを作ることも、そこに所属することも出来る。

つまり、人類が生み出してきた「国」というものの実験や検証がとてつもなく簡単かつローリスクになるのだ。

そしてこれは、リアル世界の国の発展にもつながる。つまり、デジタル世界で成功した施策の多くはリアル世界でも通用することが容易に想像でき、リスクの少ないデジタル世界での超高速での社会実験をもとにしたリアル世界の最適化が超高速で行われていく可能性がある。

この部分が、コンピューターサイエンスにとどまらない各分野の専門家を魅了している。


2022年現在は、この実験が始まったばかりの黎明期だ。とはいえ、この流れは不可逆であり、より高速に進み始める。

その目指す先は人類としてのあるべき姿の追求であり、理想とする世界の追求であり、それを目指すためにはこれまで人類が身に着けてきた知恵を結集するしかなく、その事自体が知的好奇心旺盛な人たちを惹き付ける。

これからの私たちは、これまでの人類が実現することの出来なかった社会の超高速での実験を同時多発的に行っていくこととなる。これは、人類の進化を大きく加速させる。

もちろん、その過程で失われるものも沢山あることは容易に想像がつく。デジタル世界とはいえ、そこにいるのは人であり、幾ばくかのお金が動くこともほぼ間違いないからだ。

人類をより進化させることに熱狂する人たちがブロックチェーン領域に集い、現在進行系で知恵を集め、これまでの数多くの人類の失敗と向き合い、それらを克服しようとしている。

この向き合うべき問いの大きさが、ブロックチェーン領域の最大の魅力であり、熱量の源といえる。

あとがき

このエントリでは、ひとりの素人として感じたブロックチェーン領域の面白さについて余すこと無く記載した。付け焼き刃の知識が大半であり、至らない部分も多かったと思うが、まだまだ多くの可能性を持つブロックチェーン領域に興味を持つ人が増えると、これからの国がどんどんおもしろくなっていくと思う。

改めて、このような場に快くご協力くださった石川さんに感謝したい。
なお、石川さんとは下記のMeetyからカジュアルに話すことができるそうだ。ブロックチェーン領域を扱うGaudiy社に興味がある人は、一度話してみると面白いと思う。


P.S.
ひとりで未来の妄想しているのに飽きてきたので、色んな未来を一緒に妄想したい人は私ともお話しましょう!DMはだいたい返します!


まいにちのご飯代として、よろしくお願いします。