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【ライドシェア】notteco利用規約を読み解いてみた

利用規約ウォッチャー みなしボウイです。
今回は、「notteco利用規約」をウォッチしていきます。nottecoとは、アディッシュプラスが運営するライドシェアサービスのことです。

notteco

現在日本ではタクシーのドライバー不足の問題から、ライドシェアサービスに注目が集まってきています。重要な3つのポイントに注目して利用規約をウォッチしながら、日本のライドシェアサービスについて簡単に触れていければと思っています。


安心安全にサービスをご利用頂けるポイントになりますので、最後までよろしくお付き合いください。


ライドシェアの定義

Wikipediaによる説明

Wikipediaによると、ライドシェアについて、このような説明があります。

ライドシェアリング(英語:Ridesharing)とは、ウェブサイトやモバイルアプリを介し、専用の貸切車両を運転する運転手と乗客をマッチングさせるサービスとなり、タクシーとは異なり、路上から合法的に呼び止めることが出来ない車両である。ライドシェアリングカンパニー交通ネットワーク会社ライドヘイリングサービスとも称され、専用の車両はアプリタクシーeタクシーの名で知られており、日本では「ライドシェア」の名称で知られる

「ライドシェア」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2023年12月9日 (土) 11:39 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org

上記のWikipedia以外の説明もまとめると、ライドシェアとは、一般的には「相乗り」や「配車サービス」を指し、自家用車の所有者と自動車に乗りたい人を結び付ける移動手段のことになります。純粋な相乗りサービスの「カープール型」やバンを用いて多人数が乗車できる「バンプール型」、ヒッチハイク型の相乗りサービス「カジュアルカープール型」、海外で主流となっている有償ライドシェアサービス「TNCサービス型」「PHVサービス型」といった分類もあるようです。

海外の状況

前提として、Uber、Lyft、Grab、DiDi等のライドシェアリングアプリが各国で普及している状況です。

ドライバーの地位問題や事故・犯罪の懸念、既存タクシー業界からの反発から、ライドシェアの合法性は国や管轄地域によって異なり、EU各国では規制あるいは禁止、アメリカ・カナダ・オーストラリアでは州によって規制が異なるほか、比較的参入の多い東南アジアでも何らかの許認可を必要としている国があります。

日本の状況

日本では、道路運送法により、有償の旅客輸送事業を行うには事業用自動車(いわゆる緑ナンバー)の登録が必要であるほか、運転手には第二種運転免許の保有が定められており、この条件に当てはまらない有償旅客輸送は、違法となっています。

一方で同法では、過疎地における交通空白問題(地元タクシー会社の廃業等)への対応として、自治体・特定非営利活動法人(NPO法人)等が、地域住民又は観光旅客等の利便性を確保するため、自家用自動車を用いて運賃を収受する旅客運送を行うことを認めています。
自治体による自主運行バスや、自治体やNPO法人の管理の下で地元住民が運転手となって運営する白タクは、道路運送法第78条が根拠となっています。

(有償運送)
第七十八条 自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう。以下同じ。)は、次に掲げる場合を除き、有償で運送の用に供してはならない。
 災害のため緊急を要するとき。
 市町村、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他国土交通省令で定める者が、次条の規定により地域住民又は観光旅客その他の当該地域を来訪する者の運送その他の国土交通省令で定める旅客の運送(以下「自家用有償旅客運送」という。)を行うとき。
 公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき。

道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号) 第五章 自家用自動車の使用

そして、政府の「デジタル行財政改革」の一つとして打ち出されている「日本版ライドシェア」は、タクシー会社が運行管理し、車両不足が深刻な地域や時間帯に絞って限定解禁するという条件付きで、2024年4月から主に都市部で開始される予定です。こちらは現行法の制度内とのことです。


道路運送法違反(いわゆる白タク行為)との関係性

道路運送法との兼ね合いについては前述しましたが、nottecoにおけるライドシェアとは、「相乗り」「実費の割り勘」と定義されています。これは「ガソリン代及び有料道路通行料金の実費相当を割り勘する相乗りについては「旅客自動車運送事業」に該当しない」という、2017年5月18日付けの経済産業省からの発表に基づいているものと思われます。

2017年5月18日付けの経済産業省からの発表(一部)

そのため、「notteco利用規約」において、商業目的での利用を禁止しています。

第9条 商業目的・利用の禁止
1.本サイト及びサービスは、専らドライバーと同乗者のライド・シェアの利用目的に厳格に制限されており、ドライバーによる利益を得ることを目的とした活動には適用されず、弊社はそうした活動を厳格に禁止しております。
2.ドライバーは、ライド・シェアによるドライブ(本サイトを通じて合意した内容を超えるものも含みます。)によって何ら利益を得ないものとし、同乗者からドライバーへは支払い金額のみが支払われるものとします。
3.ドライバーが利益を得ることを目的として同乗者に追加のサービスを提供することは禁止され、同乗者がかかる追加のサービスを受け又は追加のサービスを行うようにドライバーに依頼することも禁止します。
4.利益を得ることを目的としたライド・シェアを行った場合、ドライバーは道路運送法違反(いわゆる白タク行為)等の罰則を受け又は運転免許証取消等の処分が課せられる可能性についてご留意ください。かかる場合に、会員に生じた損害等に関し、弊社は一切責任を負いません。

notteco利用規約 第3章 本サイト及びサービスの利用

「日本版ライドシェア」という新しい概念が出てきたためややこしくなりますが、現状のnottecoは「日本版ライドシェア」には当てはまらないという解釈になると思われます。

  • 合法(道路運送法)

    • 一般のタクシー(配車または流し)・・・有償旅客輸送事業

    • 自治体による自主運行バスや、自治体やNPO法人の管理の下で地元住民が運転手となって運営する白タク・・・公共交通空白地有償運送

    • 2024年4月から開始予定の「日本版ライドシェア」

  • 合法(道路運送法に規定する旅客自動車運送事業の対象外)

    • notteco(等のマッチング事業者を利用するユーザー)


nottecoユーザー同士の関係性、トラブル対応について

nottecoは、自らを「会員がライド・シェアを行うために、会員同士が互いに交渉を行うためのコミュニケーションプラットフォーム」と定義しています。そのため、notteco内のライドシェアについては、ユーザー同士(ドライバーと同乗者)の契約関係となり、運営側は当事者とはならないと整理されます。

第10条 弊社の立場
1.本サイトは、会員がライド・シェアを行うために、会員同士が互いに交渉を行うためのコミュニケーションプラットフォームとなります。弊社は、会員に本サイトを通じたサービスを提供するのみであり、輸送サービスは一切提供しません。
2.ライド・シェアの合意は、ドライバーと同乗者との間のみで締結されるものであり、弊社は契約の当事者となりません。また、弊社はいかなる会員の代理等も致しません。そのため、弊社はライド・シェアの合意が実際に履行されることを保証するものではなく、会員間で生じる以下の事項について一切責任を負いません。
(1) ドライバー及び同乗者間の活動におけるトラブル又は事故
(2) ドライバー又は同乗者が法令又は本サイトの利用規約に違反した場合に、ドライバー若しくは同乗者又は第三者に発生した損害等
(3) 本サイトにおけるサービスに関してドライバー若しくは同乗者又は第三者が被った損害等

notteco利用規約 第3章 本サイト及びサービスの利用

ユーザー間でのトラブルや事故への対応は、ユーザーが行う必要があります。


「日本版ライドシェア」の開始とその後予定されている道路運送法の改正によって、現状はタクシーの配車アプリとして制約がかかっているUberやDiDiといった外資系ライドシェア、従来の配車アプリであるGo、メルカリが出資するスタートアップnewmoなど、様々なプレイヤーの参入で、タクシードライバーの不足問題や過疎地における交通空白問題の解消が期待されます。

日本経済新聞(2024年3月7日 18:30)

nottecoも日本老舗のライドシェアとして、ますます利用されていくのではないでしょうか。

今回は、このあたりで終わります。ありがとうございました。


なお本投稿における、発表内容は発表者個人の見解に基づくものであり、本投稿にて取り上げられている組織及びサービスの公式見解ではありません。

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