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サステナブルファッション③

持続可能な社会を実現する為にファッションの観点から何が出来るのかを考える"Fashion Revolution Day"

3回目のトークショーはH&Mのサステナビリティコーディネーターの方と、ストライプインターナショナルSDGs推進室長の方での対談。

率直な表現をすると、大量生産・大量消費・大量廃棄を積極的に行っているかに見える両社ですが、私が知らなかっただけで実に様々な取り組みを行い、変革を起こそうとしている姿勢が見られました。

【H&M】

ドキュメンタリー映画「ザ・トゥルーコスト」でファストファッションの代表として企業の姿勢や透明性を問い詰められるシーンがあり、エシカルの真逆を行く会社だと思っていましたが、遡ること1995年、化学薬品の制限開始を皮切りに、これまで多くの活動を行なっております。

2004年からオーガニックコットンの使用を開始し、2011年には製品の50%以上がサステナブルな素材で作られた「コンシャスライン」を発表。ラナプラザ崩壊事故のあった2013年には公正な労働賃金を示したロードマップを公開し、2016年には100%循環型ファッション業界のビジョンを発表。最近ではパイナップルから作るリサイクルレザーの開発も行うなど、これまで実に多岐にわたって活動を行なっていたことが分かりました。

H&Mの今後のヴィジョンとして、下記3点を目標として掲げており、実現に向けてどの様に取り組んでいくのか非常に気になりました。何故ならば「サステナブルな」の定義・基準が分からない、、トーク中に①に関しては約90%は達成したと述べておりましたが、定義については特に説明がありませんでした。

①2020年までに全てのコットンをサステナブルなコットンに切り替える

②2030年までに全ての素材をサステナブルに切り替える

③2040年までにバリュー・チェーンを通じてクライメット・ポジティブになる

とはいえ、具体的にいくつかの取り組みも積極的に行なっている様です。例えばH&Mのアプリはトランスペアレンシーの観点から良い取り組みだと思いました。こちらのアプリは店頭でバーコードを読み取ると製品のサステナビリティ情報表示される仕組みとなっており、商品に使用されている素材、生産国と工場、サプライヤーとどの様に取り組んでいるか、商品のリサイクルについての情報等々が閲覧できる様です。

また、店舗に各一名、リサイクラーと呼ばれるサステナビリティの説明担当者がおる様で、お客様より問い合わせがあった際は責任を持って説明できる体制をとっているとのことです。

しかしながら、私個人としてはこれでは不十分なのではないかと思っていて、何故ならばこれらの取り組みは既に環境問題や労働問題に関心のある人が能動的に動かなければ手に入らない情報だからです。やはりまずは問題を広く認知させることを優先すべきで、その為に店頭を有効活用し、お客様に知ってもらう為の取り組みを行うのが良いと思います。(その点では既に行なっているリサイクルボックスは良い活動かと思います)アプリと連動したキャンペーンでも良いし、サステナブル をテーマにしたインスタレーションでも良いので、自然とお客様の目に飛び込んできて、「え、これなんだろう」「何かやってるのかな」と興味を引かせることを実施していくと、関心も広がっていくのかなと感じました。ワールドワイドな企業だからこそ、人々に与える影響も途轍もないので、今後どうなっていくのか目が離せません。

【ストライプ】

アースミュージック&エコロジー(以下、アース)が主力事業のストライプインターナショナル。SDGs推進室は今年2月に立ち上がったばかりの新設部署とのこと。

近年の大きな取り組みとして下記2つが話題に上がりました。

①ショッピングバッグ有料化(20円)

②アースのリブランディング

①に関しては各メディアが報じていたのでご覧になられた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。詳細は以下リンクよりご覧ください。https://www.wwdjapan.com/82849

何故有料化にしたかというと、「そうしないと消費者の意識は変わらない」とのこと。これまで無料でもらえて当たり前だったものだって作っている業者がいて、原料があるわけですからね。魔法の様にパッと出てくるものではないんだよ、ということをわかってもらう為に価格も20円という設定にしている様です。(質が違いますがスーパーの袋は2,3円程度ですよね) 有料化と同時に、全ての袋を紙袋へと変更する様進めているようですが、環境に対してベストなのは「袋を使わないこと」。紙袋が生分解するとは言え、その分森林も伐採しなければならなくなりますし、もっと言えば何の種類の木を使うのか?という話にもなりますので、、

次に②について。

リブランディングして「エシカル」なブランドへと変わるようで、テレビCMも放送されていたようです。(普段テレビ見ないので全く知らなかったです、、) https://www.youtube.com/watch?v=JzFRPveUCDk

しかしここでも問題認知のされていなさを実感することに。担当者の方曰く、CM放映後「エシカルって名前にブランド名変わるんですか?」という問い合わせが数件あったそうで、またエシカルを日本語で説明するのも一言で表すことが難しく(倫理的?みたいな)対応に戸惑ってしまったそうです。とは言えマスメディアで放送できたことは関心を持ってもらう意味では良かったのではないでしょうか。(視聴者年齢の偏りはあるものの、、)

他の取り組みとしては、「フェアサプライチェーンマネジメント委員会」というのを設立。これは、現地工場での労働環境が適正かつ安全かをチェックするもので、工場内のボイラーの安全確認や、メディカルセンターの設置、講習会やミーティングなどを行い、適正な労働環境の提供に努めているようです。

【まとめ】

モデレーターの方にも、大量生産〜(以下省略)と言われ、どのような取り組みをしているのかが気になっていた両社。様々な取り組みを行なっていることがわかった一方で、サステナビリティへの取り組みを行うことで生じるコスト増に対してはどのように考えているかが気になりました。似た趣旨の質問をされている方には、「サプライチェーン内のどこかにだけ負担が大きく偏ることはしない」と述べておりましたが、やはり商品価格に載せる比重が大きくなるのではないか、、と個人的には考えております。だって海外工場には適正賃金払わなきゃいけない&自分達の利益率も下げたくない、ってなったらどうにかして高い値段を売っていかなきゃならないので。そうなった時に、いかにお客様に納得して買っていただけるか。それだけの価値を提供できるかが今後のカギになってくるなと感じました。

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