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忍者の戦わない戦い方を学ぶ「図解 万川集海 第四帖 陽忍編(中)」販売開始!🥷

本書は忍術の百科事典とも呼ばれる秘伝書『万川集海』のイラスト図解化の第4巻です。姿を表して敵地に潜入して任務を遂行する忍者「陽忍」が、戦に勝利するための秘術を図解いたしました。

前作の第三帖の販売から約2年半越し、長い長い整理編集・図解作業を経て、やっとの完成です。

ここでは『図解 万川集海 第四帖』が取り上げる陽忍 近入りという忍術と忍者の活動を紹介します。フィクションではない本当の忍者の姿を見て、乱世の戦国を生き抜いた忍者の技と知恵を知っていただければと思います。

黒服を着ない忍者。職業を変えて潜入、情報収集するエージェント「陽忍」

忍者の活動は商人や僧侶、芸人などに変装して活動する「陽忍」と忍び装束に身を包み、闇夜に紛れて活動する「陰忍」に分けられます。その中でも陽忍は、政治・外交的な任務を遂行する「遠入り」と戦時の軍事的な「近入り」に分かれます。

『図解 万川集海 第四帖』では、この陽忍 近入りを扱い、始まってしまった戦争を勝ち、国家国民を守るための忍者の隠れた仕事を解説します。

足軽に化けて敵将の様子を伺う忍者(『図解 万川集海 第四帖』表紙より)

忍術では戦争が発生する前にこれを防ぎ平和を維持する「遠入り」が最上とされる。しかし、もしも戦争が起きてしまったら…

忍者は戦時に入ったとき、姿を変えて敵城陣に潜り、敵情を探り、ときに撹乱や謀略工作を仕掛けて敵勢の力を削ぐ。

人目につかない働きで、開戦のそのとき味方軍が確実で安全な勝利を得るための支援を行う。

陽忍近入りは混沌とした戦場で、人の心理を読み解いて、慎重かつ大胆に行動し、敵の虚を突く、忍者の戦わない戦い方である。

『図解 万川集海 第四帖』帯より

戦争に入ったときの忍者の活動は、敵城陣に近づき、あるいは潜入して敵情を詳しく探る。敵軍中に不安になるようなウワサを流して疑心暗鬼にさせ、敵軍の結束力を削ぐ。敵軍の武具、兵糧、馬具や建物に火をつけて消耗させる。といった三つの任務が主だったものになります。

敵情を探る「情報収集」は忍者個人としては潜入のチャンスを知ること、謀略のタネを見つけることになり、軍全体としては敵の弱点を突く作戦を立てたり、敵軍の動きを知り防御したりと合戦での勝ちを得ることにつながります。

情報収集の項目の図解(『図解 万川集海 第四帖』より)

敵軍中にウワサを流して結束力を削ぐ「流言」は敵軍を精神的に弱らせ、敵軍備を燃やす「放火」は敵軍を物質的に弱らせます。

敵兵の心を不安にさせ、敵軍の物資を消耗させたところで味方軍は敵の作戦の弱点を突いて勝利します。

敵の物資と精神を削ぐ図解(『図解 万川集海 第四帖』より)

陽忍近入りの活動🥷

⑴敵城や敵陣での諜報活動(情報収集)
→リアルタイムでの正確な敵情把握
→情報を元に勝てる作戦を提案
⑵流言飛語で敵の戦意を削ぐ(心を削る)
→自軍が楽に戦える状況を整備
⑶敵軍備や建物を燃やして破壊(物を削る)
→自軍が楽に戦える状況を整備

忍者用語解説🥷

〈陽忍〉
姿を現して敵地に潜入する忍者
〈陰忍〉
姿を隠して敵地に忍び込む忍者
〈遠入り〉
戦とはほど遠い、平時の政治・外交目的で忍者が活動する状況。
〈近入り〉
戦時で敵味方軍の距離が近く、これから合戦になる、または合戦の最中であるとき、軍事目的で忍者が活動する状況。

近入りの忍術紹介

『図解 万川集海 第四帖』にて取り上げる「近入り」10種の忍術について概要を紹介しましょう。詳細な術技を知りたい方はぜひ本書をお読みください。

陽忍 近入り(『図解 万川集海 第四帖』より)

1、略本術(準備)
近入りの計略を行う下準備。様々な情報を集めて敵の弱点を洗い出して作戦を考え、計略に必要な道具を準備して、将軍(指揮官)と綿密な打ち合わせを行い忍者は敵地に潜入します。

2、合言葉を合わす術(ソーシャル・エンジニアリング)
戦場は敵味方が入り乱れて戦う場所です。誤って仲間を殺さないように、また忍者の潜入を阻止するために合言葉が使われます。忍者は事前に合言葉を調べ、敵兵に紛れ込みます。

3、合印を合わす術(ソーシャル・エンジニアリング)
合言葉と同じように、合印を身につけることで戦場では仲間を見分けます。忍者は事前に合印を調べ、敵兵に紛れ込みます。

4、迎入むかえいりの術(潜入)
敵地に忍者自ら潜入するのではなく、敵の陣地予定地にあらかじめ入って宿を取り、敵軍がやってきて陣地を構築し始めたら忍者は敵兵に紛れ込みます。

5、妖者ばけものの術(変装)
敵の警戒の目を掻い潜り目的を達成するために、怪しまれない職業に忍者は変装します。服装・道具・技術・作法まで身につけ完璧にその者になります。

6、参差かたたがえの術(潜入)
敵軍が出陣する混乱に乗じて、敵と入れ違いに敵城陣に潜入します。

7、水月の術(潜入)
いわゆる陽動作戦。餌で敵の気を引いて誘い出し、この隙に乗じて忍者は潜入します。

8、谷入の術(潜入)
計略を用いて敵の仲間になり、敵城陣・敵軍中に潜入します。

9、虜反りょはん術(謀略)
敵兵を捕虜にして、寝返らせて忍者として利用します。捕虜を使った計略・謀略を敵に仕掛けます。

10、袋翻ふくろがえし全術(謀略)
敵の忠誠心をひっくり返す袋翻を、敵兵(武士)とその親類・知人全員に対して仕掛け、敵軍の結束力を削ぎ落とします。

『図解 万川集海 第四帖』

術名の後に()で記したのは陽忍近入りの術を大きく分類したカテゴリーです。カテゴリーは5種類あり、準備(1)、ソーシャル・エンジニアリング(2)、変装(1)、潜入(4)、謀略(2)です。

忍術はそれ単体で使うのではなく、これらの要素を組み合わせて使うことで人知れず目的を達成することができます。

現代の軍事学でいう作戦術という考え方、いくつかの戦術を組み合わせることで戦略目標を達成するというのと同じです。

軍と軍がぶつかる戦、大きな力を持っていても、がむしゃらにぶつかっては疲れるだけです。それだけでなく味方にも被害が出るでしょう。忍者の役目は敵の情報を知ることで楽に勝てる方法を探り、実際に戦うとなれば、より楽に戦えるよう工夫し、軍が安全に勝てるように環境を整えることです。

戦の被害を少なくするための謀略(『図解 万川集海 第四帖』より)

近入りというシチュエーション、陽忍の軍の中での役割を頭の片隅に置いて、『図解 万川集海 第四帖』を読んでいただけると、忍者の実像とリアルな忍術をより知ってもらえると思います。

『図解 万川集海 第四帖』の内容が気になる方はこちらの記事もご参考ください↓


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