「森に隠れる忍術」インプットとアウトプットの実践訓練【姿を隠す「隠行術」の方法と術理の検証】
忍術では物陰に姿を隠すことを「隠行」といいます。忍術書に出てくる隠行術を実際に行うにあたり、隠行の効果を最大限に引き出し、敵に発見されないという目的を達成するために考えるべき要素について、先日行った隠行の実証実験を元にして書きます。
インプットとアウトプットを体を使って行う「隠行」
忍者のメイン任務は情報収集で、情報戦が忍者の得意とするものです。忍者の情報戦とは、五感をフルに使って情報を集め、その情報をもとに行動することです。「隠行」に当てはめれば、森の中で五感を使って周囲の環境情報を収集し、それをもとに敵に見つからない隠れ方を考え、体で表現するといえます。忍術は、情報のインプットとアウトプットを体を使って実践的に行う修行法とそのメソッドです。
以下本文中ではわかりにくい表記もありますが、隠行の実験で気づいた個人的な忍者のメモ書き程度のものですので悪しからず。
なお「忍術書に記載される隠行術の実証実験」の目的は、①忍術書記載の術の機能性の確認、②それに伴う術理の理解(術の抽象化)、③隠行の実践に伴う発想法の発見と構造化、④構造化した発想法の他者への共有(教育)方法の模索、⑤隠行術の発展(応用)などです。
①隠行のシチュエーションを考える
⑴偵察
敵陣に密かに接近して敵情を探る。あるいは敵が通るルート上に隠れ潜み敵の動きを探る。
前者は敵に見つからないように姿を隠しながら徐々に敵に近づく「隠行」と「歩法」、「無足忍」の能力が主に必要になる。後者は息を潜めて微動だにせず敵を伺う「隠行」と「無息忍」が必要。
⑵遁法
逃走中、追手をやり過ごすために物陰に隠れてやり過ごす。
逃走は「歩法」「走法」「遠足」の技術、そこから機転を効かせて急に隠れるので「隠行」「整息法」の能力が必要。
⑶蟠り
敵が通るルート上に隠れ潜み、油断の隙を突いて奇襲する。
潜み隠れるのに「隠行」、奇襲のための戦術「兵法」と戦技「武術」、機動力として「歩法」の能力が必要。
②敵の位置、動きを考える
⑴敵と自分の距離
敵と自分の距離が遠ければ発見されるリスクは下がるが様子を探るのが難しくなる。近ければリスクは上がるがよく見える。
敵と自分の間のオブジェクトの数、密集度も考える。前後左右に散らばっていると焦点が分散する。
⑵敵の移動ルート
敵が移動したときの自分の見え方について考える。正面から見たらしっかり隠れていても横から見たら丸見えとか、敵の動きを考慮して隠れる位置を取る。
③光の向き、時間、天候を考える
⑴除影術
物陰に隠れているつもりが人影が出てしまっては敵にバレる。光源の位置を考えて姿と影を隠す。
⑵夜討
明るい昼間はよく見えるからもちろん見つかりやすい。夕暮れ時は光が著しく変化するので見えづらい。夜は太陽光が無くなるので闇に隠れることができる。
⑶風雨
激しい風音や雨の視界不良に隠れる。
④陰影、環境を考える
⑴隠忍
物陰に隠れる。パッと見て陰影の濃いところは見えづらいので隠れやすい。
⑵紛忍
環境内のオブジェクトの形に応じて身を紛れさせる。立木が多ければ木のそばで立木に馴染むように立って隠れ、岩が多ければ伏せて岩に馴染む。
⑤気配を考える
敵と正体していると敵は人間の特徴を捉えたり視線を感じて発見される恐れがある。敵に背を向けて摩利支天の真言を唱えることで敵の中からも自分の中からも互いの存在意識を決す。
物体として人間のシルエットを持っていると、パターン認識により敵に発見される。人間のシルエット、目鼻口を覆面で隠し、肌の露出を装束で隠し、人体のラインを柔体で隠す。動きも人間的な動きを消す。
⑥心理を考える
敵の視点でこちらがどう見えるか?敵の意識でこちらはどう捉えられているか?物理的に消えなくても敵の意識から存在が消えていればいい。
各隠行術別の術理
以下各種隠行術別の術理についての覚書。
・観音隠れ
意識の消し方。不動。
・鶉隠れ
岩のような丸いオブジェクトに紛れる。幕の使い方。
・木葉隠れ
立木のような棒状のオブジェクトに紛れる。
・狸隠れ
上方に隠れる。アイレベルの視界から消える。
・狐隠れ
水に隠れる。臭いを消す。
・楊枝隠れ
意識を逸らす。
・扇隠れ
眼前の視界を遮る。
・霧隠れ
霧、煙に隠れる。視界不良。
「自然に触れて隠れる忍者×焚き火ワークショップ」
自然の中での忍者ワークショップ🥷
感覚を働かせて情報収集、自然の中に隠れる忍者かくれんぼを体験しよう。忍者体験後は焚き火ワークショップを行います。
〈修行体験内容〉
・呼吸法
・九字切り
・五感向上
・歩法
・隠行(忍者かくれんぼ)
・火術(焚き火)
〈開催趣旨〉
情報というのはSNSの文字(メッセージ)や統計データなどの数字だけではありません。目の前に広がる世界を見て、触れ、感じたときに人がどう感じたのか?言葉にしたものが情報です。
忍者のメイン任務は情報収集、五感を働かせて生きた情報を手に入れ、情報を活かして敵と戦います。
ワークショップでは「忍術」を体験し、森の中で、自然の中で、五感を働かせて情報をキャッチします。自分が何を感じ、どう思い、どうしたいのか?それが情報戦です。
自然の中で集めた情報を元にして「隠行術」もやってみます。自然に触れて、入って、上手に溶け込む技を体験する忍者かくれんぼです。
普段は触れることの少ない自然に触れ、感覚を自由にして、発見を得て、試してみる。知らないことを知ることが忍者活動の第一歩、新しい発見を得るための忍者ワークショップです。
Supported by Shinobi Design Project 🥷
Shinobi Design Projectは忍者・忍術の発想でデザインとパルクールのお仕事をする技能衆です。
個人・小規模事業者から一般企業、ベンチャーまで「デザインについてわからないんだけど…」という方もお気軽にお問合せください。お客様が求めるものを探す手助けをいたします。
🥷忍者の思考と精神を身につけるべく、日々修行を行ってますので見届けてもらえると幸いです。あとお仕事のご依頼もお待ちしております🙇♂️。サポートは兵糧(ひょうろう)に使わせていただきます。 WEB:https://shinobi-design-project.com/home