アンナ・カリーナ 死去
はじめて見た作品はなんだったろうか。「気狂いピエロ」だったかな。まだ一本一本の印象が深い爪痕を残す感受性で映画を観ていた若い頃。彼女の姿は一生忘れ得ないイメージとして僕の中に焼き付けられた。
女は女である
5時から7時までのクレオ
女と男のいる舗道
輪舞
アルファヴィル
気狂いピエロ
修道女
メイドインUSA
未来展望
異邦人
数えてみたけど、それほど多くの作品を観ているわけではなかった。そもそも出演作品自体が思っていたほど多くはなかった。
それなのに彼女の存在感は僕の中でとてつもなく大きかった。いつまでも過去の恋に固執していた当時の僕は、どこかでアンナ・カリーナを追いかけ続けた時代のゴダールに自分を重ねていたのかもしれない。
鮮やかに愛する人を切り取るゴダールに憧れ、そしてそんな視線を弄ぶようにスクリーンの中で自由に漂うアンナに胸苦しさを覚えつつ見惚れた。
作品には関係の無い話だ。思い込みが大半だ。とはいえこれもまた、映画が見せる夢のひとつのかたち。だったのかなと思う。
今の僕は年を重ねすぎていて、そこまでひとりの女優に入れ込む感性は持ち合わせていない。これからもきっと、こんな風にひとりの女優に惹きつけられることはないだろう。
ご冥福をお祈りいたします。
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