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『Tiger 3』

2023/11/12公開のヒンディー映画。
主演はSalman Khan。

かなりの注目作だが、北と南では温度感が違うのか、当日でも公開初日のチケットを入手することができた。

本作は YRF Spy Universe の一つで、今年1月に公開された『Pathaan』以降の世界観を継ぐ物語ということになっている。

YRF Spy Universe
Yash Raj Films によって製作・配信されているアクション映画群で、インドの諜報機関R&AWに所属するスパイが活躍するシリーズ作品。
『Ek Tha Tiger (2012)』『Tiger Zinda Hai (2017)』『War (2019)』『Pathaan (2023)』が公開済みで、すでに『War 2 (2025)』『Tiger vs Pathaan (2025)』の公開も予告されている。

以下、ネタバレ込みで感想を。

あらすじは細かく書かないが、『Pathaan』同様、スパイアクション映画の王道といった感じだった。
面白いと思ったシーンや気になった設定を、脈絡なく挙げていく。

Salman Khan 演じる Tiger と Katrina Kaif 演じる Zoya の関係について。
2人は夫婦なのだが、Tiger がインドの諜報機関に属しているのに対して、Zoya はパキスタンの諜報機関に属している。
え、そんなのあり?
この2国は世界的にも有名な仲悪国家で、この設定は全く腑に落ちない。
実際、作中でTiger と Zoya が対立シーンもあったし。
『Tiger』シリーズを1作目から観れば、この不自然な設定も納得できるのだろうか。

Zoyaが中国の女性武闘家(General Zimou)とスパで戦うシーンがある。
Zimouがうつぶせでマッサージを受けているところ、そばに来たZoyaが話しかける。
Zimouの首にタトゥーが入っていて、少ししか画面に映らなかったのだが、漢字で「虎」と書いているように見えた(自信はない)。
「お、タイガーとかかってんじゃん」とぼくは思った。
しかし、Zoyaはそれを見て「それは、ox という意味ね」みたいなことを言っていた。
この辺は字幕が流れるのが速かったので、意味があるのかないのか、適当なのか、ぼくの見間違いか解釈違いかよく分からない。

この映画の舞台は、パキスタンが大部分を占める。
ざっくりとストーリーを説明すると、パキスタンを乗っ取るために現大統領の暗殺を謀る圧倒的悪役に Tiger が立ち向かい、見事パキスタンの平和を守り抜く、という展開。
ぼくが観てきた映画がたまたまそうなのか知らないが、北インドの映画は悪役が近隣諸国に設定されていることが多い気がする。
どこかの国全体が悪の組織として描かれることもあれば、どこか国の一部の人物や集団だったり、過激な宗教組織だったりすることもある。
そして、そういった国や組織、人物らが平和や民主主義を脅かし、インド人スパイが彼らを成敗するといったストーリーが多い。
一方で、南インドのアクション映画に登場する悪役は権力者であることが多い。
汚職にまみれた役人だったり、弱者から搾取して私腹を肥やす富豪だったり、果てはインド政府自体が悪役として描かれることもある。
北インドと南インドで異なる国家観が垣間見えるようで面白い。

パキスタンの国家転覆を目論む悪役の Aatish Rehman を演じたのは Emraan Hashmi という俳優。

emraan hashmi

でも、悪役を演じるにはちょっと顔が可愛すぎると思う。
少し垂れた目尻が優しそうで、大統領暗殺を企てるような極悪人にはとうてい見えない。

今年1月に公開された『Pathaan』では、主演の Shah Rukh Khan が窮地に立たされた時、Salman Khan が助けに来るという胸アツな友情出演があった。
ということはつまり『Tiger 3』でも同様の展開があったわけで、Salman Khan がピンチの時にどこからともなく SRK が現れた。

Shah Rukh Khan (左) と  Salman Khan (右)

「やっぱりSRKは華があるなぁ」と思った。
もちろん Salman Khan も彼に負けないくらい人気のある俳優だが、それでもSRKのオーラには勝てない。
SRKは格好いいだけじゃなくて、ひょうきんだし、何より大人の色気がある。
カリスマ性がすごい。

物語の終盤、無事に Aatish Rehman(悪役)を倒した Tiger は、パキスタン大統領から「パキスタンの民主主義を守った英雄」として称えられる。
その時に大統領府に居合わせていた子どもたちが、パキスタンの楽器(?)でインド国家を演奏するというシーンがあった。
美しい演奏でインド国家が流れたとき、劇場内の観客が一斉に立ち上がって壮観だった。
かなり胸を打つシーンで鳥肌ものだった。
この場面だけでも、もう1回体感したい。

本作はエンドロールが流れてからも目が離せない。

Salman Khan と Katrina Kaif のダンスが流れた後、インド陸軍大佐が現れ何者かに電話する。
「次の敵はかなり手強い。君に任せたよ、カビール君…」
というわけで、Spy Universe の次回作『War 2』の期待を煽る形で物語は締めくくられていて、改めてインド映画の娯楽力の高さを再認識した。
スマホが普及し、面白いことが手のひらの中で完結する現代においても、インドでは映画がなおも求心力を失わない理由が納得できる。

以上、脈絡なく書き散らかしたけれど、『Tiger 3』の感想でした。


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