椎葉清陽

椎葉清陽(しいばきよひ)と申します。 ショートショート、短編などを赴くままに書きはじめ…

椎葉清陽

椎葉清陽(しいばきよひ)と申します。 ショートショート、短編などを赴くままに書きはじめました。 長編もネットの何処かに掲載予定。

最近の記事

【短編】僕の自由は袋小路の中にある

いつもこの時間になると道を見ている。 袋小路に座った僕は、右から左、左から右へと流れていく人を見ながら、この時間を過ごしている。眺めているのが珍しいのか、大抵の人がこちらを見ていく。じっと観るだけの人や睨む人もいるが、それ以外が圧倒的に多い。最近は顔を布のようなもので覆っているけれどわかる。あの目の形は笑顔だ。 そんな笑顔を受けながら、僕は目を合わせることなくすました顔でそこにいる。通りすがる人は大勢で、僕はひとり。全員に声をかけるわけにも、愛想を振りまくわけにもいかない。

    • 【超短編】月の光 街の灯り

      静かな風がそよぐ夜。 私は一人、窓から外を眺めている。 今夜は月の光が寝静まった世界を明るく照らしている。 大きな森、その先に見える湖、大きな街。 森には美しい花や気高い動物たちが棲み、透き通った水を抱える美しい湖には可愛らしい魚たちが遊ぶ。街は活気に満ち溢れ、楽しげな音楽や人々の声が響く。 どれにも行ったことがあるが、どれも今日のような夜にここから見るのが一番美しい。 昼間、赴く方がよく見えるのは知っている。 でも私は、明るい日差しの中でそれらを見るのが嫌いだ。 明るす

    【短編】僕の自由は袋小路の中にある