いつもこの時間になると道を見ている。 袋小路に座った僕は、右から左、左から右へと流れていく人を見ながら、この時間を過ごしている。眺めているのが珍しいのか、大抵の…
静かな風がそよぐ夜。 私は一人、窓から外を眺めている。 今夜は月の光が寝静まった世界を明るく照らしている。 大きな森、その先に見える湖、大きな街。 森には美しい花…
椎葉清陽
2024年2月28日 22:33
いつもこの時間になると道を見ている。袋小路に座った僕は、右から左、左から右へと流れていく人を見ながら、この時間を過ごしている。眺めているのが珍しいのか、大抵の人がこちらを見ていく。じっと観るだけの人や睨む人もいるが、それ以外が圧倒的に多い。最近は顔を布のようなもので覆っているけれどわかる。あの目の形は笑顔だ。そんな笑顔を受けながら、僕は目を合わせることなくすました顔でそこにいる。通りすがる人
2024年2月22日 21:41
静かな風がそよぐ夜。私は一人、窓から外を眺めている。今夜は月の光が寝静まった世界を明るく照らしている。大きな森、その先に見える湖、大きな街。森には美しい花や気高い動物たちが棲み、透き通った水を抱える美しい湖には可愛らしい魚たちが遊ぶ。街は活気に満ち溢れ、楽しげな音楽や人々の声が響く。どれにも行ったことがあるが、どれも今日のような夜にここから見るのが一番美しい。昼間、赴く方がよく見え