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アタック・オブ・ザ・ケセランパサラン

「またケセランパサランが人を襲いました。死亡したヘギンズ氏はサンタフェでハネムーンを過ごしており……」ザザッ。カーラジオは不快なノイズと共に途絶えた。車がポンコツだからだ。今日という今日は俺もそれを思い知った。

 行く手は何マイルにもかけて荒野。建物の影も形も見当たらない。エンストしないことを祈るばかりだ。視界の端を水牛の群れが横切っていった。一面の青空には白い雲が一つきり。いや、違う。本当に雲か? ラジオのノイズが高まっていく。

 折しも強い風が吹き、球形のフワフワした物体がフロントガラスに張り付いた。コイツは、「ケセランパサランだ!」俺は車を急カーブさせ、元来た道を戻った。が、ポンコツすぎてスピードが出ない。後ろからは雲霞の如く寄り集まったケセランパサランが、地面に暗い影を落としながら迫ってくる。そしてあっという間に車に追い付くと、その体を窓と言わずボンネットと言わずバタバタと叩き付けてきた!

【続く】

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