ヤバいパルプ

酸欠爆発ラスベガス:第二話「ノワールの8」

■目次 ■一話

ばらばらと潰れ爆音とともにガラガラと崩れ落ちるビル。硬いはずの鉄筋コンクリートの塊はコンクリートはバターが溶けるようにひしゃげ潰れていく。女は手りゅう弾のピンを引き抜き逃げ惑う市民へと投げ入れつぶやく。
「土は土に……」爆発。銃弾が彼女をかすめる。

一歩歩く。海賊船は難破し、凱旋門の天井は落ち、マンハッタンは全部コンクリートと土くれに変貌した。女は瓦礫の中から這い出してきた観光

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冒険小説ラスベガス大炎上:第1話「ルージュの7」

ラスベガスの暴動は珍しくない。――ただし街中だけだが。カジノで暴れようものなら、マフィア警察アメリカ軍をすべて相手にする必要がある。その結果なにが待つか?   死だ。もしも暴れたくてなおかつ腕っぷしに自信があるなら、そのままベガス名物、ボクシングの試合に出るほうがマシであろう。ただし正気があるのなら。
ラスベガス。一夜の夢は人を狂わす。見渡す限り欲望のるつぼなのだ。それをぶち壊すかの如く、破滅的な

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名もなき村のああああ(試験版400文字)

名前が欲しかった。燃え盛る木の枝を飲み込んだから<火食い>とか、塔の上で30年暮らしたから<塔暮らし>とか、そんなんじゃなくて、きちんと名付けられた名前が。

 大気が震えるほど荒い息を吐きながら、蹄で地面を蹴って飛び掛かってこようとしているのはハネボウキの亜種。ハネボウキは蹄のある四つ足のバカでかい鳥だが、コイツはさらに額に角がついている……まあ、見た目はどうだっていい。大事なのはコイツに名付け

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ギロチナイゼーション 1582 パート7

背中に当たる固い板の感触があった。もはや後戻りはできなかった。ギヨタンは断頭台に横たえられ、目前に下がった刃の先を見つめている。刃は薄暗い空の色を映して、雨雲に似た灰色をしていた。

 ギヨタンは今日ここに至るまでに思いを馳せた。ある日突然民衆の一団に家へ押しかけられ、罪状すら聞かされずに監獄へ送られた。彼らはギヨタンに憤っているようでもなければ、ギヨタンをあざ笑うわけでもなく、ただそうすべきだか

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ギロチナイゼーション1582 パート6

陣の中の茶人は手に持った茶碗をじっと見つめていた。茶碗の中には世界が広がる。茶の深緑に、行燈の炎がかすかに赤味を加えていた。水面には夜空の星々が映り、まるで金箔を散らしたかのようだ。月は出ていない。まだ宵の口だからだ。

 静かな茶碗の中の景色をかき散らすものがある。陣中にあってなお防ぎきれぬ、僅かばかりの風にふわふわと揺れる一片の茶葉。それが水面を滑るかのように移動し、その度に波を立てて景色を乱

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ギロチナイゼーション 1582 パート5

「首を刈られていたとおっしゃいましたな」金木犀の香る庭に面した座敷でのことであった。ぼそりと呟いたサント・ミゲルの顔を、今は亡き信長の茶頭、宗易が神妙な面持ちで窺っている。畳の上には湯気を立てる茶と、宗易が手土産に持込んだ茶菓子が置かれているが、二人とも手をつけずにいた。

「ええ。何かご存知でないかと思いまして」宗易はいま一度質問を繰り返した。目前のサント・ミゲルは座敷に居れど、その服装はシャツ

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ギロチナイゼーション 1582 パート4

ギヨタンは牢獄の中に響く声で目を覚ました。壁に背中を預けたまま、周囲の音に耳を澄ます。聞こえてくるのは自分と同じようにここへ連れてこられた人々の寝息だけ。再び声が聞こえてくることはなかった。

 凍えるような冬の夜だった。格子窓から部屋の中に向けて、淡い星の光が射し込んでいる。きっと他の部屋からも同じ夜空が見えるはずだ。名家の出であるとか、信条を変えなかったとかの理由で、一体どれほどの人々がここで

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ギロチナイゼーション 1582 パート3

断頭台とはつまり刀の鞘だ。刃がレールの上を滑り落ちるのは、武芸者たちが刀を鞘走らせるのと同じである。違いがあるとすれば、鞘に収まった刀に害がないのに対して、断頭台の刃は底まで落ちて初めてその役割を果たすことだろう。罪人の首に収まってこその刃である。

 ギロチンが担いでいるのは、まさに二本の柱からなる鞘であった。その長さは滑り落ちた刃が勢いで人の首を断つのに必要な分だけが確保してある。そしてレール

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ギロチナイゼーション 1582 パート2

男は空間から隔絶された部屋の中で、牢獄の様子をじっと窺っていた。白亜の部屋には時の流れもなければ距離もなく、ただ意思だけ、男の意思だけが横溢していた。ゆえに部屋は時空間の制限を受けず、主の望む方へ舵を切ることができた。部屋は男をギヨタンの幽閉された牢へと運んだ。彼がそこへ向かったのは煮えたぎるような憎悪のためだった。

「聞けギヨタンよ」男の無貌の顔に開いた口は、それ以上開きもしなければ閉じもしな

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ギロチナイゼーション 1582 パート1

焼け落ちんとする本能寺は炎の中で光り輝いていた。

 信長はじっと畳の上に座するがまま。目前には一本の小刀が横たえられている。手勢が謀反人の軍勢に勝てぬと見るや殿中に引き返し、ここを終焉の地と決めた。その戦の音も今は遠い。彼の耳に届いてくるのは周囲を焼き焦がす火の音と、今にも押しつぶされようとする梁の軋む音だけだ。

 彼が割腹した後は、燃え盛る火が介錯人の代わりとなろう。言うなれば自らの野望に身

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