前野りりえ詩集『サラフィータ』
「サラフィータはわたしの造語で大宰府のアナグラムのようなものです」と、あとがきにある。今年最初に読んだ詩集だ。二部構成で、Ⅰ章は「サラフィータ」、Ⅱ章は「エニウェア」と題されている。
Ⅰ章は「サラフィータ」では、一月から十二月まで、月ごとのサラフィータが描かる。中でも、梅の花盛りの『二月のサラフィータ』が、好きだ。「見惚れていると/だんだん奥へ 奥へと 迷い込む(13頁)」美しいものは必ず怖さを孕んでいる。「そうして 見つけた/倒れて眠る人魚を/これは人魚の香り?(同)」