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ストーリー いつだってあなたの味方です

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短編小説。病室に現れた彼女の正体は? 私の人生は決して無駄ではなかった。
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日曜日の夕方、薄暗い病院の冷えた通路にひとりでいた。(1)

 右足の甲が浮腫んで力が入らない。踏み込むたびに足裏がじーんという鈍い音をあげていた。右…

私が使っている通路側のベッドは、季節を感じるには不便だ。(2)

 一月にしては暖かいそうだが、入院して三か月ともなると、そろそろ季節感が危うくなる。四六…

毎日の点滴は午後から始まる。(3)

 「これから吐き気止めの薬を入れるね」と言って、看護師の柳井さんが最初の点滴袋を持ってき…

はなは、最初に見舞いに来た日から毎日来ていた。(4)

どうして? と聞きたかったが、中々言い出せない。回答に対する答えも用意できない、聞いた事…

それ以降、はなの素性を聞き出せないでいた。(5)

それなのに、ある日、誰にも話したことの無い自分の過去を、はなに話し始めていた。私の硬い心…