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「嬉しかった事実」と「怒れた事実」を集める

方法2として、顧客としての経験の中で、「嬉しかった」事実と「怒れた」事実を集め、何故そのように感じたか、その理由や背景を考えてみます。


まずは、自分がお客様であった時の経験を集めます。
方法1は「~しない事実」を集めましたが
方法2では、 「嬉しかった事実」と「怒れた事実」を集めます。

そして、その理由や背景を考えてキーワードに残します。
流れは方法1と似ていますが、切り口が違います。


何故改めて、「嬉しかったこと」や「怒れたこと」を集めるのか?
何故改めて、その理由や背景を考えなければいけないのか?


その訳は…


「嬉しかったこと」を経験すれば、自分もしてみようと思います。
自分のお客様に対して行動しようと思います。
それは決して間違いではありません。

「怒れたこと」を経験したら、こんなことに気をつけようと
自分や周囲に言い聞かせます。
これも間違いではありません。

でも、「何故嬉しかったの?」「何故怒れたの?」と聞かれたら
その訳を詳細に説明することができますか。

単純に、「こんな行動を見たから」「あんなことを聞いたから」
で済ましていませんか?


じっくりと考えてください。
嬉しかった、怒れた理由はそんな単純なものではないはずです。

いくつかの理由が重なって、嬉しくなったり怒ったりしています。


ポイントは、本人がその理由に気づいていないことです。

そして、その気づいていない部分が実はとても大切なのです。
その部分を演習シートNO.2で引き出します。

例えば、嬉しかった事実として…


「自宅近くのコンビニに行った時、入口近くで元気のいい挨拶が聞こえた。このコンビニはどのアルバイト店員も元気があり、気持ちがいい」

こんな嬉しい体験をしました。

この時、すぐに「挨拶は元気よく、大きな声でする」と終わらせるのではなく

「元気のいい挨拶が聞こえたから、ここの店員は元気がいいと感じたのか?」
と自問自答してみます。


そうすると、別の視点が生まれてきます。

「いや、それもあるけど入ってすぐに挨拶の声が聞こえたから…」

ポイントは、「いや、それもあるけど…」の部分
ここに嬉しかった理由がたくさん隠れています。

自問自答しなければ気づくことのできない部分です。


可能ならば
「元気のいい挨拶が聞こえたから、ここの店員は元気がいいと感じたのですね」などと、他人から質問してもらってください。

そうすると本当にそうだったのか、改めて考えるようになります。

そして「いや、それもあるけど入ってすぐに挨拶の声が聞こえたから…」
と別の理由が浮かびあがります。

「気づきの研修」では、これをグループで行っています。

自分の気づきを発表して、お互いに質問をすることで別の視点を気づかせます。見てはいたが、聞いてはいたが忘れていたことがあります。
それを思い出すことができます。


その他、どんな理由が出てきたのでしょう。


・声だけでなく、笑顔が素敵だったから
 …無意識に相手を目で見ていたことに気づきます。

・他のコンビニでは、挨拶がいい加減だったから
 …無意識に他店と比較していることが発見できます。

・今日だけでなく、いつも良い挨拶をしているから
 …接点の回数の問題です。

・このアルバイトだけでなく、他のアルバイトも
 気持ちのいい挨拶をしているから
 …自分の比較の方法がわかります。


これを次のようなキーワードで残しておきます。

・挨拶のタイミング
・お客様の視線(視点)
・お客様の比較対象
・接点回数


ここまでやると、自分の行動に活かす部分が具体的に見えてきませんか。


キーワードを行動に移すなら

・挨拶は、お客様がお店に入った瞬間にする
・笑顔で目線をお客様に向ける
・他店に負けない挨拶をする
・どんなに忙しくても同じ丁寧な挨拶を心掛ける
・自分だけでなく、仕事仲間の挨拶にも気を配る


理由や背景を考えないで、ただ真似するだけなら
「挨拶は元気よく、大きな声でする」で終わってしまいます。
でもこれでは行動に移すことはできません。
「元気よく」も「大きな声」も人によって違います。


同じように、「怒れた(嫌な気分)事実を取り上げてみます。


「自動車ディラーへ電話をしたところ、担当者が留守であった。
 修理依頼の伝言をしたが、その後いつまで経っても担当者から
 の連絡がなく次第に怒れてきた」

こんな嫌な体験をしました。


コンビニの例のように自問自答してみます。
そうすると以下のような理由を思いつきました。


・担当者が留守であったから

これははっきり言ってお客様である私のわがままです。自分が連絡した時、
相手がいない、「何故いないんだ」といわれても相手は困ります。

でもたとえ言わなくても、気持ちとして持っています。
あなたも同じではないですか?

ここで考えなければいけないことは
この気持ちがスタート時点にあるということです。

勿論スタート時点とは、連絡をするために電話をかけた時です。
これがその後の気持ちの動きに多少なりとも影響を与えます。


・担当者がすぐに連絡してくれると思っていたから

「すぐ」とはどれくらいの時間なのか?5分以内なのか、15分以内なのか


・結果(この先の行方)が知りたかったから

自分がしなければいけないことに何があるのか?
(例えば車を持って行かなければいけない?)


・時間にルーズだから
・いつまで待つのかわからない

徐々に怒りが増幅されていきます。

そして最後は


・伝言を受けた人は本当に伝えたのか

と不信感が芽生えます。
それが、「次第に怒れてきた」という事実に繋がります。

この場合のキーワードは…

・お客様は自己本位
・お客様の都合(予定)
・長いと思わない時間
・伝言者への不信感


電話を受けた人は、この点に注意してお客様の伝言を受ければいいのです。

キーワードを残すことで、具体的な行動が見えてきませんか。


ここでもすぐに自分の仕事に活かせなくても構いません。
演習を続けることで別のキーワードと繋がることがあります。
まずはシートを使って、「嬉しかった事実」と「怒れた事実」を
集めてください。

そして「何故そのように感じたか」という理由や背景を考えてください。
添付の「私の顧客としての経験シート NO.2」を使ってください。
方法は、シートNO.1と同じです。
思いつくままたくさん書き出すことです。

前項で見つけた、「自分の新しい視点」を加え理由や背景を考えてください。そして直感的なキーワードを残してください。

その他の例として、ガイドブックでは事例を取り上げています。
参考にしてください。



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