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3度目の真実

客商売で、一番気を遣うし、大切な指標にしているのが「3回目の来店」だ。

1回目、感動した。友だちや家族と一緒にまた来たい!

2回目来店。この時、客は一番厳しい。1回目の感動記憶があるから、まず、それをなぞる。それと比較する。一緒で当たり前、少しでも瑕疵(かし)があると減点だ。

この、一番厳しい2回目来店を超えての3回目なので、そうなると本物のリピート客というわけだ。これを「3度目の真実」と呼んでいる。そして、商いという回転軸の中心にあるのが、この、「3度目のリピート」。

よく「行列のできる店」がいい、といわれるが、実はアテにならない。なぜなら、「行列ができているから行列する」心理が大きいからであり、「本当の意味のお気に入り」かどうかは別だからだ。

ある振込で、郵送されてきた振込用紙を手に銀行へ行った。「他行へのものなので、郵便局に行かれたほうが圧倒的に手数料が安くなりますよ」

郵便局行った。しばらく待ち、ようやく「87番のお客様〜」で窓口行くと、「ATMご利用になると手数料が安くなりますよ」

ATM行って、器械に言われる通りやったんだけどこれ最初からスマホアプリで良かったんちゃうか(笑)

帰り道、なーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんとなく虚しかった。結局、人間であるぼくがマスクして、オフィス出て、エレベーター乗って下りて、外へ出て、銀行行って、郵便局行って、最後器械相手に現金振り込んで。これって、商いの回転軸であるところの「リピート」につながるんだろうか。確かに振込というのは機能でしかない。だからアプリで済むんだけど・・・

窓口担当者にお願いするほうが手数料が高くなるのは人間が動くと人件費が高いからだろうけど彼、ヒマやったで。ヒマやけど器械のほうが都合いいのか?

大昔、ビル・ゲイツ『思考スピードの経営』で大きな違和感を感じた箇所があって、正確な表現は忘れたんだけど、「できるだけ客に仕事させるようにしよう」みたいなのがあった。それ以来、なんか、客が全部自分のことをする流れになってきている気がする。振込もそうだし、なんかの申し込みとかもそう、口座開設すら、そうだ。カードご利用明細も、自分でプリントアウトせなあかん。

そんな流れだからこそ、ぼくは経営指導で、「リピートの分析」をオススメしている。非接触の世の中だからこそ、いくらでも接触できる方法はある。その作戦会議の出発点が、「リピートの分析」なんだ。

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話は変わるけど、ぼくがイノベーションの講義で残念な事例として取り上げるのがこの「ボースホーン」。ボースbothつまり両面にダイヤルがあるよ、だから便利だよ、というやつだけど、これのどこがアカンか。旧来の電話機デザインに「足した」だけだからだ。足し算ではイノベーションは生まれない。すごくシンプル。イノベーションは、引き算か、ぶっ壊すところからしか、生まれない。

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