日本の平和教育を受けた上で読むとさぞかし明るい未来が来るかのように考えたくなりますが、外交文書としてはよくあるレトリックを並べているだけです。来たる米朝首脳会談で全てが決まると考えたらいいでしょう。

勘違いしてはいけません。まだ北は体制を変えていいとか、核開発を放棄するとは一言も記していません。核実験をしないという話が出ましたが、挨拶で出ても宣言文には全く触れられていません。サインしない内容なら約束していないのと同じです。

外交とは駆け引きにしか過ぎません。大型商談で最初から本音の価格を提示することはなく、何度も打ち合わせてようやく最終提示になるのと似ています。さながら「頑張ります」と言ってニコニコしているだけのよう。

本当に北が「目覚めた」なら下記のどれかに踏み込むはずです。

・核関連武器を廃棄

・科学者を全員外国に移住、聴き取り自由

・関連文書、実験データを全て廃棄

・製造施設を全て破壊

今回の宣言は、これに達しそうなイメージは湧き起こりますが、何も行動するとは言っていません。

北のトップが極めて計算され尽くしたパフォーマンスをしただけにイメージに釣られないことが何より大切です。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29942570X20C18A4FF8000/