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今回の参議院選挙制度改革は強豪チームに都合のいいルール改正

 7月11日の参議院本会議で、参議院の議員定数を6増やし、比例区に特定枠を設ける自民党の公職選挙法改正案が、自民、公明両党などの賛成多数で可決されました。13日から衆議院で審議入りしましたが、今国会中の成立は確実です。

 この参院選挙制度改革については、自民党の小泉進次郎代議士が批判的なコメントを出したこともニュースになっていましたが、衆議院でも都道府県や基礎自治体の議会でも定数削減が進むこのご時世に、なぜ参議院では「定数増」なのか、と疑問を抱かれる方も多いと思います。

 私は選挙プランナーとして政治家の選挙のお手伝いをするのが主な仕事ですが、同時に、できるだけ多くの人に選挙に関心をもってもらい、投票にいってもらいたいとも考えています。そうした考えから、投票率向上のキャンペーンや、選挙管理委員会主催の勉強会での講師なども担当させていただいています。

 今回、WEBRONZA編集部よりお声をかけていただき、「特定枠」などで複雑さを増す参院選挙制度について「基本のき」から解説し、この改正のどこに問題があるのかについて、寄稿させていただきました。

 詳しくはWEBRONZAの記事を読んでいただくとして、端的に言うと今回の参議院選挙制度改革は「強豪チームが、自分たちに都合のいいルール改正を強引に決めた」というものです。

 サッカーに例えれば、選手がルール改正を議論し、連続優勝している強豪チームに都合のいいルール改正がそのまま採用されてしまう。そんなおかしな状況です。アメリカでも、特定の政党や候補者に有利なように選挙区の区割りを変更する「ゲリマンダー」が問題になっていますが、保身を優先する政治家という存在は、自分たちに都合のいいように選挙のルールを変えたいと考えてしまうものなのです。

 自民党総裁選は、前回2012年の総裁選後にルール(総裁公選規程)が変更になり、党員票がより重要になりました。仮に現在の総裁選のルールを6年前に行われた自民党総裁選にあてはめてみると、当選者は安倍氏ではなく石破茂氏だったという試算もあります。

 選挙もルールが変われば、当選者が変わります。当選者が変わるということは、私たちの代表者が変わるということです。より良い代表者を選ぶために、今回のような党利党略による選挙制度改革がまかり通らないように、選挙制度への国民的な関心が高まることを願ってやみません。

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