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「ロジックとして正しい」は正しい?論理的思考と限定合理性

こんにちは。ぽいさんでございます。

前回のnoteで、広告運用者に必要なスキルはうわべの専門性よりも、ポータブルスキルにこそあるとお話しました。

今回はそのポータブルスキルの1要素として、「ロジカルシンキングについての誤解」についてお話したいと思います。

巷では「ロジカルシンキング」という言葉がもてはやされています。ロジカル=正義、ノンロジカル=悪みたいな。そういう風潮もあると思います。

今回は、そういう考えに一石を投じる内容となっております。

論理的思考力のある人とない人、何が違う?

という質問をされたら、あなたは何と答えるでしょうか?ちょっと考えてみてください。


ちょっと考えて自分なりの意見をお持ちの上で続きを読んでほしいのですが、

私は「人間、誰しも論理的に物事を考えている」と思っています。つまり、論理的思考力のある人、ない人なんて区切りは幻想であり、ちゃーんと人間みな論理的に物事を考えている、ということです。

ロジカルな人、ロジカルでない人という誤解が生まれる理由と、その対処法

では、なぜ「あの人はロジカルだね」とか「もっとロジカルに考えなよ」とかのワードが流通するのでしょうか。

その理由として、

①自分の思考を正確に発話できる人間ばかりではないから
②使う言葉の定義の共通認識が取れていないから
③論理構築に使う、把握している前提が違うから

という点が挙げられるのかなと思っています。

①自分の思考を正確に発話できる人間ばかりではないから

これは私含め、誰しも経験があると思います。自分の思考内容を常に理論整然と語れる人は、日ごろから言語化習慣を徹底している「鉄人」だけです。

しかし、発話できないから、思考自体にロジックが宿っていないというわけではありません。思考を表現する道具が言葉ですが、我々は、その言葉=思考のすべてだと錯覚しがちです。でも、発話できなくても、人間は意識、無意識問わず、様々な情報から合理的な結論を導き出しているのです。それが「断片的で不完全なアウトプット」として、口から出てくるだけなのです。

まずはこの「発話できなくとも、この人なりに合理的に考えた結論が今の発言なんだ」という性善説的な傾聴姿勢がとても重要です。この人の言うこと、ちょっと理解できない。でも、この人なりに合理的に考えて発言しているのだから、その思考プロセスを追体験してみよう。という姿勢ですね。

②使う言葉の定義の共通認識が取れていないから

これは言語化できてないと近しいのですが、人によって、認識している言葉の定義が違います。「コミュニケーション」「マネジメント」「モチベーション」などの、多様な意味を含むBIGワードがその代表例でしょう。※これはわかりやすい例であり、細々したのを挙げればキリがないと思います。

この「言葉の定義があいまい」な状態で発言を受け取ると、真意のミスリードにつながり、ロジック通ってなくね?的な意見につながりがちです。

こういったミスリードを防ぐためのテクニックとして、多様な意味を含む言葉を聞いたときに「あなたの考える○○ってどういう意味ですか?」とサボらずに確認することです。

③論理構築に使う、把握している前提が違うから

ちょっとこれだけ、見出しを分けて厚めに語ることにします。

「限定合理性」の罠

「限定合理性」という言葉をご存知でしょうか?知らない方のために、Wikiを引用します。

限定合理性とは、合理的であろうと意図するけれども、認識能力の限界によって、限られた合理性しか経済主体が持ち得ないことを表す。

ちょっと小難しい文章かもしれませんが、これを図解して表現すると次のようなイメージです。

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この図解でいうと、三者それぞれが、まず「把握している前提情報」が違います。それゆえに、前提から合理的に考えて出した結論も、三者バラバラになってしまう事象が起きます。

ところが、他人の暗黙の思考プロセスまではなかなか察することができません。それゆえに、三者とも、「他の人ロジック通ってなくね?」という意見をもってしまいがちです。

では、どうすればいいのか。

個人の認識能力には、限界があります。図のA~Gの前提情報を網羅的に拾い上げて把握することができる人は稀でしょう。

なので、「他人の思考プロセス、視界をジャック」して、他人にしか見えていない前提情報をみつける必要があります。そのために必要なのが「対話」です。

「Xって結論は違うでしょ」「いや、Yの方が間違ってる」といった「誰の意見を選ぶか」という議論ではなく、各々が「なぜX,Y,Zって考えたの?」と質問をし、その思考プロセスを共有ことで、誰かの意見を選ぶのではなく「最適解を共創する」議論がとても重要です。

もしかしたら、すべての前提情報を網羅してみると、XでもYでもZでもない、Wが最適解だね。となるケースもあるかもしれません。

おわりに。

今回は論理的思考と限定合理性というテーマでお話をしてみましたが、いかがでしたでしょうか。

下記、重要なポイントをまとめてみました。

・誰もが論理的に物事を考えているという心構えが重要
・思考を正確に発話できる人ばかりではないし、発話=思考ではない
・言葉の共通認識を正しくとることが重要
・限定合理性に注意し、対話を通じて最適解を探す必要がある

この思考や習慣が広がれば、きっと社会が明るくなるような気がしています。しかし、スピードを優先しすぎる現代のビジネスシーンでは、どうしてもこのような態度が足りません。

見かけのスピードよりも、本当の前進のために、この内容を参考にしていただけると幸いです。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。

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