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在日ロヒンギャ アウンティンさんの想い

8月11日、茨城県かすみがうら市 千代田公民館で行われた「ロータリー第2820地区 インターアクト年次大会」。

在日ロヒンギャのアウンティンさんが地元の高校生やロータリークラブ会員の前で講演を行い、故郷のミャンマーやバングラデシュの難民難民キャンプでロヒンギャが置かれている状況について語った。

2月にも同じ会場で彼が登壇し、私も話を聞きに茨城まで行ったのだが、今回は残念ながら予定が合わず行くことが叶わなかった。

今日アウンティンさんと電話で話す機会があったので、講演の様子を伺った。ミャンマーでは現在東部モン州を中心に各地で豪雨による深刻な洪水や地滑り等の被害が発生し50人を越える死者が出ており、世界の支援を必要としている状況にある。同時にバングラデシュ南東部のロヒンギャ難民キャンプでも去年より甚大な豪雨被害が出ており、併せて関心を持って欲しいと訴える。

2017年の大弾圧から2年、世界中で信じ難い非人道的な弾圧や暴動のニュースが途切れることのないこの時世に、人々の関心は上書きされ続け、ロヒンギャを取り巻く問題についても「過去のもの」として関心が薄れつつあるのを肌で感じるが、実際はミャンマー軍による虐殺行為に対する調査や、70万を越える避難民のミャンマーへの帰還、国籍、市民権の付与等、山積した問題は何も解決していないように感じる。

現在日本国籍を取得しているアウンティンさんは、出身地のラカイン州マウンドーで今も年老いた母親や兄弟を残しており、彼らは移動の自由すら奪われ「収容」と同様の状況に置かれているという。厳しい現状でも彼にできることをと考え、バングラデシュのクトゥパロン難民キャンプに「アウンティン平和学校」を建て、大きな規模ではないが小学生と最近では中学生の年齢の子供たちにも授業を受けさせているという。

子供たちに教育を受けさせることの重要性、日中に学校に子供たちを集めることで、キャンプ内での誘拐事件などを防ぐこともできると。私も去年彼の学校を訪問し、与えられたカバンや教材を幸せそうに抱えて目をキラキラさせながら授業を受ける子供たちの姿に心を打たれた。

そしてミャンマーのロヒンギャの村を訪れて、様々な差別を受けるロヒンギャの人たちの唯一の希望は「子供たち」であり、「自分が犠牲になっても、親が子供により良い教育を受けさせてあげたい」と云う思いは彼らも強く持っている、世界共通なんだと実感した。

7月30日には河野外務大臣が泉裕泰 駐バングラデシュ大使らと難民キャンプを視察したことに対しての感謝、そしてミャンマーとバングラデシュ両国と親交のある日本政府に期待をしていると語った。

「河野外務大臣によるコックスバザール避難民キャンプ視察(外務省)」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sw/bd/page3_002813.html

そして勘違いをして欲しくないのは、ロヒンギャは独立や自治権を求めている訳ではない、かつてミャンマーで与えられていた国籍を戻して欲しい。我々はベンガル人ではないと、アウンティンさんは言う。

そして彼は日本の、世界の未来を担う若者たちに期待する。学生たちは大きな力、可能性を持っていると。ミャンマーの抱える少数民族問題(ロヒンギャだけではない)に関心を持って欲しいと訴える。

近年、写真展等を行う中で、ミャンマーやバングラデシュ、日本で置かれているロヒンギャの状況に興味を持ち、多くの大人たちのように見返りを求めず、下心を持たず、純粋に情熱を燃やして現地へ取材に向かったり、日本や現地で支援活動を行う若い人たちと知り合う機会が多く、私も日々刺激を受けている。私に何ができるだろう。

アウンティンさんの切なる想い、多くの人に伝わって欲しい。

■写真提供:マキンタヤ・スティーブン氏(無国籍ネットワーク)

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