映画「アンセスターズ・メモリーズ」

先日、駒沢大学駅前のイベントスペース、M's Cantinaで開催された上映会「エムズ・カレッジシネマ2019 JUNE」で「The scars of genocide」と、もう一つ気になっていた映画、「アンセスターズ・メモリーズ」。日本とミャンマーの大学生が太平洋戦争時、日本が占領したビルマ(ミャンマー)を辿る旅に出るというドキュメンタリー作品だ。

主人公たちがミャンマー各地で戦争体験者のリアルな声を聞き、改めて当時の日本軍がビルマ(及び東アジア、東南アジア全域...)に対してどれだけ残虐な行いをしてしまったのか。

主人公の一人として作品にも登場する本作品の監督、茂野新太さんも会場にいらして、直接お話を聞けて良かった。自分のことも知っていてくださってた。

日本人としてかつて日本軍がビルマを占領し統治した歴史を辿るなんて相当な覚悟と勇気、責任がないとできることではない。昔アメリカで学生をしてた時に軽い気持ちで映画館で「パールハーバー」を観て、娯楽映画としても相当居心地が悪い思いをしたことがあるが、実際に現場で制作の指揮を取り、主演をするなんてそんなもんじゃない。

昨今この国でロヒンギャの問題がこじれにこじれている原因のひとつに、太平洋戦争時にラカイン州で日本軍がラカイン族を戦わせ、イギリス軍がムスリムやヒンドゥーを戦わせた結果(アキャブ作戦)、戦後もこの地に宗教紛争を残してしまったという背景がある。だから日本人にも責任もある。

私も以前にチャウンタービーチ近くの小島で出逢った僧に「昔はここまで日本軍が攻めて来たんだよ」と話を聞いたり、ラカイン州のチン族の集落ではかつて日本軍の襲撃でチン州の故郷を逃れたというおばあさんを、私が日本人と知り本気で恐がらせてしまったこともあった。

日本人として学ばなくてはならない、深く考えさせられる本当に素晴らしい作品だった。ミャンマーの人々の慈悲深さも改めて感じることができる。是非多くの場所で多くの人たちに観てもらいたい。

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