見出し画像

成瀬は信じた道をいく

『成瀬は信じた道をいく』 宮島未奈 2024/1/24 新潮社

本書を読み終わった直後、前作の『成瀬は天下を取りにいく』が今年の本屋大賞受賞の報を聞いた。

自分も昨年、読んだ小説の中で、一番だったので、当然とは思いながら、とても嬉しかった。
なぜなら、前作を読んで以来、主人公である成瀬あかりのファンとなってしまった事と、成瀬という存在を祝福する読者が全国に多くいることを知ることが出来たからだ。

同時期に本書を読んでいた娘も同じ思いであったようで、二人でそのよろこびを分かち合った。(先々月の2月には娘と成瀬の故郷である滋賀へと聖地巡礼に行ってきていた)

この成瀬あかりという少女を一言でいってしまえば、ギフテッド。
天才少女といってもよいのかもしれないが、アスペルガーの傾向も否めず、周囲との摩擦もあるのだが、あかりはそんなことを気にもとめず、我が道を突き進んでゆく。
そして、そんな彼女と出会った知人、友人、家族たちとの物語といってよいのだろう。
物語の形式は、成瀬あかりの起こした事件、及び出来事をめぐる連作短編集で、読みやすく、普段、小説を読まない人にも気軽に手に取れるようになっているが、読後の余韻は深い。そして、ひたすら面白い。

前作で中学生であったあかりも本書では大学生となっており、その成長に目を瞠るばかりだった。
そして、彼女はこれからも信じた道を行き、天下を取りにいくのだろう。
その存在と行動をひたすら寿いでいきたい。



この記事が参加している募集

推薦図書

人の世に熱あれ、人間(じんかん)に光りあれ。