エッセイ『だからあんこは嫌いだと言ってるだろうが』
私は心理学を修めた人に抵抗を感じる。彼らと対峙する時、私の話し方や言葉選び、些細な仕草や目線の動きが注視され、彼らは頭の中で分析しているに違いない。そう思うと不快でたまらない。
ただ、実のところ私にはそれほどセンシティブな領域はない。誰にでも触れられたくない過去や真実の一つや二つや三つはあるというが、今ぱっと考えてみる限りでは思いつかない。そりゃ重箱の隅をつつけば、十八歳まで母親の膝枕で耳掃除してもらう習慣があったとか、口にするのもはばかられる悪趣味なAVを買ったことがあ