かばん2018年7月号詠草「エンドロール」

かばん2018年7月号詠草「エンドロール」 


一行の長編小説なに色の句点で閉じる こわれかけた肺


前触れなく難聴になりゆらゆらと音なき花びら 誰か逝くのか


やみくもに動物のように貪りあう血筋と知った日何かが終わった


いのちからきっとはみ出す居場所なきエトランジェにも夢の手足を


こころにも終点がある ほら雨がもうすぐ電車を満たしてしまう


ひとりごと尽きたコップのスケッチを朝から晩まで描き疲れて


錠剤の白さの化学式示す明日になんの約束もない


Enterキー押すたび粗製乱造のエンドロールのような文字たち


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