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20年ぶりに下北沢の老舗レコード屋に行ってきた。

アラフォーの私は友達がほぼいないのです。
わずかな友人の中でも、中学時代からの旧友と久しぶりに会いました。

音楽好きのその彼とレコード屋に行った話です。

目的地は20年前に行った某・老舗レコード店でした。
我々昔から音楽が好きで、CDよりもアナログレコードを買い漁っていた時代がありました。
当時行っていたのがその店だったのです。

20年前の我々はガラケーしかなくて、スマホで何でも調べる時代ではなかったですし、レコードも店に行って買うのが普通。
ネットで調べてオンラインで買うというカルチャーはまだ少なかったのです。
当時は、店に行って目当てのレコードを片っ端から掘りまくって探すというのが楽しかった。
そこで思わぬ名盤をゲットするなんてこともあったわけです。

ということで、我々は敢えて何も調べずに向かうことにしました。

そして電車に乗って下北沢に向かい、駅の改札を出て唖然としました。

あれ?ここどこ、、、?

昔みた下北沢の景色はそこにはなく、都市開発された新しい街並みがありました。
完全に浦島太郎状態です。
街並みは、完全に別物になっていました。

以前の景色はもう見ることが出来ないと思うと、淋しいような悲しいような、諦めのような郷愁が込み上げてきました。

この様子だと例のレコード屋はもう無いかもしれない。
そんな風に思いました。

そして二人は昔とは違う街並みを探りながら、例のレコード屋を目指します。

するとゴチャゴチャした路面の隅に店の看板が出ていました(嬉)!
雑居ビルの2階で今日も営業しているようです。

二人は嬉しくなって、「早速入ろう!」となるわけですが、ふとよぎったのは、店の中がガラッと変わっているかもという予感です。

何しろ20年前のことですから、下北沢の街並みと同じく、店も大きく変わっているかもしれません。

そして階段を上がっていくと、、、。
そこには当時と全く変わらぬ店内が姿を現しました。

蛍光灯で照らされた店内に、年季の入ったレコード棚、売り物になる前のレコード在庫が雑多と並んだレジカウンターの奥。
そしてそこには当時からのマスターが健在で立っていました

二人は変わらぬ景色を見て嬉しくなりました。

すぐにマスターに話しかけたくなりましたが、まあ落ち着け。

まずはレコードをチェックします。
ここはレコード屋さんですから、レコードを買う場所でした。
昔好きだったSOUL&FUNKの棚、90年代のR&Bの棚を確かめて。
それぞれ一枚選んでレジに向かいました。

「マスター、ご健在でなによりです。僕ら20年ぶりに来ました。」

「ふっ、健在でいる以外選択肢ないからよ。」

「マスター年とりましたね。」

「お互い様だよ(苦笑!」

我々を覚えていたかは不明でしたが。

少しの間雑談をして、会計の際に、マスターが店のポイントカードを作ってくれました。

「このカードは有効期限ないから。また20年後来ても使えるからよ。」

マスターのナイスな返しに我々はつい笑顔になりました。

街は変わったけど、店は変わってなかった。
20年後はどんな時代なんだろう。

店を後にして帰路についた二人には、マスターの言葉が妙に響いたのでした。

文+イラスト:ケーモティック

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