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ガイアさんへのお手紙〜タダであるもの〜

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いつも思うけれども、ガイアさんはとても寛大な心で見守ってくれていますよね。もし私があなただったら、地表にアスファルトとかいう、かゆいものを塗って車で動きまくる人間が目障りに感じるでしょうね。とっとと爆発して私たちを塵にするところを、あなたはずっと何も言わないわけです。懐が深いですね。

そしてヒトはすぐに値段を付けたがります。本当はあなたのものなのに、土地や石油や水にまで、挙げ句の果てにそれらを無断で奪おうとすれば目を怒らせてお金を請求してきます。無断でもらって無断で使う・・そんなことをしているのは本当は私たちなのですけど、あなたが今のところ月々の請求書を出したりはしないので、人々は毎日知らぬ顔で暮らせているわけですね。もし急にそういうシステムになったとしたら、えらいことになるわけです。

毎日命をつなぐ食べ物も、「今日おまえは一匹の鳥と30種類の野菜達と、一頭の牛のロース部分をもらったな?その分を払え!」と毎回あなたから問い合わせが来るならば、私たちは日々土下座をしながら許しを得て、そして食べ物の代金を渡していかなくてはいけません。しかしそれを、ガイアさんは全部無料で私に与えてくれている。いや、いいえ。タダ、という言葉は汚くて好きではありません。もともとこの世に値段など無かったのですから。

ガイアさん、私は最近、スーパーが暴力的に見えてきました。そこで並んでいるのは、みんな命なんですよね。動物、野菜、魚、加工品も、全部人間が捕まえた命ですけど、そんなに捕まえることないのに、とさえ思うようになりました。しかも動物や魚はみんな「部分」で売られています。ですから私はつい最近まで普通にお肉や魚を食べていましたが、それらがすべてまるごと売られていたら、人々は買うでしょうか?買わないですよね。それでもお肉として、刺身として自分でさばきたい人は、それでいいのです。でも私はとても、気持ち悪くてできません。昔仕方なくイカをさばいたときは本当に嫌でした。中には植物にさえ抵抗を覚える人も、やがて出てくるでしょうね。そうなっていくのだと思います。

ガイアさん、私は鳥が好きだったので、はじめは卵を食べるのをやめたんです。そのうち他の動物に関しても、彼らを思い出すと無理に食べたいとは思わなくなりました。でもたまに購入した商品の中に「牛肉エキス」などと書いてあるのに、知らずに食べてしまったこともあります。めんつゆの中にも魚のだしが入っています。でも、もしそれを食べてしまったとしても、昔の私と違うことは、とても感謝をしながら食べていることです。まだ未熟な私ですが、そうやってこの地球を友達として見ていくのです。

あなたが私に無償で与えてくれていることは数え切れませんが、一番感謝していることはこの身体です。生まれたときからそれはもうすでにあって、この身体があるからこそ、私はソファでゴロゴロしながらチョコレートを食べることができるのです。そして愛する人と新鮮な空気を吸って、手をつなぐこともできます。このモビルスーツは驚くべき性能ですね。

また、思いついたとき、あなたに手紙を書きます。

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